1月19日(土)曇りがち

朝7時に起きて、本日、明治大学記念館で予定されている講義の準備。眠い。死にたいほど眠い。何の講義かというと、財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)が10年間ほど毎年行っている「読書アドバイザー養成講座」のひとコマなのである。参加費6万円(+各自の交通費や宿泊費)だか出してまで読書アドバイザーというものになりたいという、大変奇特な方々が 200名ほど集まる講座で1時間半、書評の書き方について講義してくれという仕事。
一昨年から、わたしはこのJPICの仕切るさまざまイベントに協力しており、西南学院大学で講義をしたり、絲山秋子さんの聞き手になったり、上野の美術館のホールで岡崎武志さん、南陀楼綾繁さんと鼎談したり、名古屋で岡崎武志さんと対談したりしておるのだが、まあ、その一環として断れない講義ではあるのだ。
10時30分に会場となる明治大学記念館に到着。が、しかし、誰もいない。20分待っても誰もこない。不審に思って、ずいぶん以前にファックスしてもらった案内を見直すと、なんと明日じゃん。あ・し・た!? ええええーっ、じゃあ、今日わたしは本当は惰眠を貪ることができたってわけ? 死にたくなった。腰を下ろしているロビーの巨大なソファーがわたしを「♪さあ、眠りなさい」と岩崎宏美の美声でいざなっていると思うた。死にたくなった。
しかし、帰るわけにもいかないのだった。午後2時にアスペクトのT田くんにゲラを渡す約束があり、7時からは岸本佐知子が顧問を務めるナックル部(それが一体何かは内緒だ)の生肉を喰らう宴会があるので、帰れないのであった。
神保町を大きな失意を抱えながら彷徨し、1時30分に「さぼうる」でT田くんにゲラを渡し、世間話。眠い眠いとしつこく言い募るわたしに、T田くんが「じゃあ、山の上ホテルにチェックインしてぎりぎりまで寐てればいいじゃないですか。どうせ、明日もこのあたりに来るんなら泊まるが吉ですよ」とナイスなアドバイスをくれたので、それに従うことに。ところが――。
山の上ホテルに向かう途中、つい、ふらふらっとある店に入ってしまったのである。で、そこで長い間探していたブツの新品同様の中古を発見してしまったのである。で、店員さんは「このモデルの新品は現在市場に出回ってません。中古も少ないです。これが売れたら、うちにも今度いつ入ってくるかわかりません」と言うのである。
気がつけば銀行のATM機の前にいるわたし。で、昨今は1日で50万円しか引き落とせなくなっているらしく、残りはVISAのカードで支払うことにしているわたし。睡眠不足って怖ろしい……。こんな大きな買い物をものの1時間で決めてしまうなんて……。肉宴会に持っていくわけにもいかないので、ブツは預けて明日ピックアップすることに。見つかった歓びと失った銭の大きさに吹き飛ぶ眠気。
というわけで、ブツを楽にピックアップするには車のほうがよかろうということで、山の上ホテルに宿泊するのはやめて、再び時間潰しのためにさすらい人に。
何軒も喫茶店をはしごして、うとうとして、本を読んで、何とか夜7時に肉宴会参加者と中野駅の北口で合流。タクシーに分乗して「やっちゃん」へ。総勢12名で絶品の生肉を喰らいながら、かなりバカバカしい話題で盛り上がる。
・中絶した女性から乳が出るor出ないの熱い論争。
・あそこでバナナを切ることができた、わたしの大学時代の友人女子の武勇伝。
・かつて1時間半にも及ぶ電話取材のさなか、世界の荒川修作先生から「あなたみたいなプアーな人は」「そういうプアーな発想は」「天命反転の家はあなたみたいなプアーな人のために」と、「プアー」を108回連呼されたわたしの自慢話。
・デイブ・スペクターが実は日本人で埼玉県出身なのは本当なのか。もしくはデイブ・スペクターが実は黒人でマイケル・ジャクソンのように皮膚を漂白&髪の毛を直毛化しているのは本当なのか。
その他もろもろ。
肉のあとは中野に戻って、2軒はしごし、夜中の2時に散開。