1月23日(水)雪のち雨

やっと降った。自分が出かける予定のない日の雪と台風くらい心躍る天候もない。まだ2歳の猫が降りしきる雪を飽かず眺めている様に萌え。わたしも一緒にじっくり雪景色を堪能する。
明日のメッタ斬り!対談のために選評の束を読む。全体的に低調! 面白くないよっ、笑えないよっ、これじゃおまんまの食い上げだよっ。
そんな、ジュンちゃんやテルちゃんですら凡庸なコメントしか残せていない中、第137回芥川賞におけるシンちゃんの“俺は俺の道を行く”姿勢は貴重。都庁に向かって三拝九拝。だって、始まって6字目でもう間違ってんですよ、日本語。相変わらず主語を引きうける述語を見失ってんですよ。あとは、直木賞における阿刀田高のボケ味に妙味。爆笑。詳しくは4月下旬に出るであろう、出てほしい『文学賞メッタ斬り!2008年版』をお読みになって下さいまし。
川上未映子『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』(青土社)読了
掲載されたのが「ユリイカ」だからか、「文學界」に載った芥川賞受賞作「乳と卵」と比べるとずっと意識の流れの記述の仕方と言葉の選択が先鋭的。ここから川上ワールドに入るのは難しいかもしれない。未体験者はやはりエッセイ集『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(ヒヨコ舎)、『わたくし率 イン 歯ー、または世界』(講談社)を経た後に先端世界へどうぞ、なんである。
で、この本を開いたら比較的物語性の高い「告白室の保存」から読みはじめ、なんとはなしに尾崎翠の小説やブリキの自発団の芝居を思い起こさせる「夜の目硝子」に入り、そしたらもう表題作から「少女はおしっこの不安を撃破、心はあせるわ」「ちょっきん、なー」「彼女は四時の性交にうっとり、うっとりよ」「象の目を焼いても焼いても」と全作品読めてしまうはずなのだった。
野間文芸新人賞の選評で江國香織が候補に挙げられ落選した「わたく率〜」のことを《斬新そうな表情の本なのに、クラシックな美しさがありました。小説が言葉によって立つものであることを改めて認識させられ、私はとてもいいと思った》と褒めているけれど、まさにその通りというべきで、わたしも川上さんは近代文学の正しい嫡子だと思う。で、この『先端で〜』はそのことがよくわかる短篇集なのである。

先端で、さすわさされるわそらええわ

先端で、さすわさされるわそらええわ