第1回

「壁紙」
(1) 壁面の補強や装飾のため壁に貼る紙。
(2) パソコンのデスクトップの背景の装飾用画面。
(『広辞苑 第6版』岩波書店

 わが家にパソコンを導入したのは二〇〇〇年一月。以来八年余り、壁紙には一貫してグラビア系アイドルの水着写真を使ってきた。
 四十男が(現在は五十男だ)二十歳前後のお姐ちゃんのきわどい写真を飾っているなんて、と顰蹙を買いそうだが、好きなものは仕様がない。
 でも、何でそんなに好きなんだろう。
 理由のひとつは、ワタクシがモノゴコロついた一九六〇年代半ば、エロいお姐ちゃんのグラビアが付いた男性誌平凡パンチ』や『週刊プレイボーイ』が相次いで創刊されたこと。といっても、純真無垢な田舎の小中学生には、そうしたグラビアページを本屋で立ち読みする勇気なんてありゃしません。見たいけど、恥ずかしい。恥ずかしいけど、見たい。そういう鬱勃たるパトスが、その時期のワタクシのココロに深く根づいたと推測されるのである。
 もうひとつは、そんなワタクシが二十歳前後のときに、篠山紀信の〃激写〃でお馴染み『GORO』や『スコラ』といったグラビア系男性誌が続々と刊行されるようになったこと。もはやおおっぴらに立ち読みが出来るようになっていたワタクシは立ち読みはもちろん、積極的に購入するようにもなったわけだ。
 たまりにたまっていたマグマが噴出し始めたのはいうまでもない。
 そしてその火山活動が今日もなお、静かに続いているという次第。
 動機の探索はそれくらいにして、では、いったいどんな娘を飾ってきたか。
 これについては、当初は何の葛藤もなかった。女体とその動きのキモは曲線にあり(C坂東玉三郎)ということで、曲線といえば、やはり巨乳。幸い、四半世紀前の堀江しのぶ以来、イエローキャブ系を中心に巨乳系には続々とニューフェイスが登場している。最近のお姐ちゃんは発育もよろしく、まことに人材には事欠かない。問題はそれより、輝ける壁紙娘の第一号を誰にするかということであった。欲望が先走り過ぎて誰に決めたらいいかわからない、というか、候補がいっぱいい過ぎてわからないというか。
ちなみに、二〇〇〇年当時のグラビアアイドルの情況はというと、

釈由美子酒井若菜が前年にもまして大ブレイク、一般にも知名度を広げる一方、この2人を追うように眞鍋かをり川村亜紀が台頭し、さらに、他ジャンルで注目されたアイドルたちが参入してくるなど、まさに百花繚乱の様相を呈した(『アイドル探偵団2001』宝島社)

 そう、何を隠そう、ワタクシが最初に唾をつけたのは釈由美子であった。ナイスバディの元祖天然系娘ということで、当然の選択ではあるけど、パソコンの装飾用画面には壁紙ともうひとつスクリーンセーバーというのがあって、釈チャンにはまずそちらを飾って貰うことになった。その理由は−−忘れた。そっちのほうがより多くの釈チャン写真が使えるくらいの単なる思いつきだとは思われるが、彼女をスクリーンセーバーに持っていったことが、壁紙娘の選択にも重要な影響を及ぼすことになった。つまり、壁紙のほうはグラマー系じゃなくて、当時の流行りでもあったピュア系や癒し系のアイドルでもいいんじゃないかと。それで白羽の矢を立てたのが、そっち系のトップと目されていた本上まなみである。
 かくして本上まなみの画像をあれこれ探し始めたのだが、そのときワタクシの股間を、もとい、心眼を射抜く娘が現われた。
 乙葉である。
(この項、続く/現在の壁紙:松本さゆき

Shaku Shake!!―釈由美子写真集

Shaku Shake!!―釈由美子写真集