「第3回ほぼA賞」実況中継 1

時:1月14日(月)18:30〜22:30
場所:たの子宅
メンバー:たの、てづ、がく、じょり、こきりこ、あさてぃ、ニック、あちゃり、ひでんか(※ひでんかのみ点数未提出。あちゃりは点数と講評のみ提出。))

【点数一覧】

・『乳と卵』川上未映子・・・22点(がく2、てづ3、たの3、こきりこ2、じょり3、あさてぃ3、ニック3、あちゃり3)

・『カソウスキの行方』津村記久子・・・19点(がく2、てづ3、たの3、こきりこ2、じょり3、あさてぃ2、ニック2、あちゃり2)

・『ワンちゃん』楊逸・・・16点(がく3、てづ2、たの2、こきりこ2、じょり2、あさてぃ1、ニック1、あちゃり2)

・『カツラ美容室別室』山崎ナオコーラ・・・12点(がく1、てづ2、たの1、こきりこ1、じょり1、あさてぃ2、ニック2、あちゃり2)

・『小銭をかぞえる』西村賢太・・・12点(がく0、てづ1、たの2、こきりこ1、じょり1、あさてぃ3、ニック2、あちゃり2)

・『切れた鎖』田中慎弥・・・(がく3、てづ1、たの1、こきりこ2、じょり2、あさてぃ0、ニック0、あちゃり1)

・『空で歌う』中山智幸・・・6点(がく1、てづ1、たの1、こきりこ1、じょり0、あさてぃ−、ニック1、あちゃり1)


【『空で歌う』中山智幸】

がく「さて、どうします?点数低いのからいきます?」

あさてぃ「たのが好きそうだから『空で歌う』からいこうよ!」

がく「たのさん、どうでしたか、この作品は?」

たの「みんなの評価は低いけど、結構楽しめましたよ。途中までは・・・…」

がく「途中までって、どこらへんまで?」

たの「う〜ん、フェリーに乗るところまでくらい?・・・・・・って、結構中盤まで楽しんでるじゃん、俺!(笑)」

あさてぃ「点数低いくせに結構楽しんでるじゃん!」

たの「中盤のフェリーに乗るところまではわりと坦々として何も起こらない感じで、俺はそれが好きだったんだけどね。そのまま何も起こらない感じで進んでいけば、もっと俺的には点数が高かったかもしれない。」

がく「たのさんは坦々系が好きだもんね。」

たの「後半になって一番思ったのが、『ちゃんとロケットを発射しろよ!!』ってこと!ロケットを飛ばさないと話として完結しないじゃないですか。」

じょり「飛ばないところを書きたかったんじゃないかな?」

たの「(それじゃ)やだ(笑)!そこが気になって、今までちょっといいかなと思って嫌なところとかを目をつむっていたのが、全部悪い印象にパタパタと裏返っていった。やはり書くべきところはしっかり描写してもらわないと。書かなさ過ぎですよね、中山智幸って。」

こきりこ「省略のし過ぎが気に入らないってこと?」

たの「(主人公の)兄のことをもっと書くべきだと思うんですよ。事故に巻き込まれたこととか。ね。」

がく「登場人物の水野さんって女性ってどうなんでしょうね?」

たの「男子は好きですよね、こういう女性。お姉さん像として。男子の理想像オーラが出てますよね。」

じょり「あちゃりの講評には『この手の女子は確かにもてるよね〜、ふむふむ』って書いてあるよ。」

がく「後半がね、坦々系から一気にキヨスクに置いてあるエロ小説のような展開にいくんですよね。妄想だけの童貞のような。主人公が水野さんの部屋に侵入するシーンとかも、童貞臭がするんだよね。いや、リアル童貞なら部屋に侵入することなんてできないんだけど。なんかその中途半端さが妄想童貞っぽい。」

たの「そのシーンに関しては『ヤるのかヤらないのか!?』って、ちょっとワクワクしながら読みましたけどね。」

がく「俺もワクワクした。主人公がセックスを拒まれて『とりあえず一回だけやりません?』とか言ったり、『生理なんですか?僕はそれでも構いませんが』とか思うところとか…・・・」

じょり「最低だよね(笑)!」

たの「アホかっ(笑)!何を考えてるんじゃ!って。」

あさてぃ「女の気持ちをまったく無視してるね。」

じょり「水野さんも悪いんだけどね。自分で誘ってるから。女性でこの作品を褒める人はあまりいないと思いますよ。元彼の弟(主人公)と一緒に、亡き元彼の遺したものを見に行くという設定に共感した読者以外は。なんかこの女、寒いのにノースリーブとか着てるし(笑)。」

たの「(話の流れに関係なく)いやぁ、やっぱり発射しないのがよくないよ。発射して欲しかった。」

がく「ロケットを?それともホテルの部屋で?」

たの「どっちも(笑)。」

じょり「事故死した兄って極度のロマンチストですよね。天文好きで、ロケット使ってバースデーカード届けようとしたり。」

たの「登場人物のキャラって、どこか一部が作者そのものなんでしょうね。作中で登場人物が作者目線に移行して、また登場人物に戻っていくっていう感じがよくある。水野さんの部屋に侵入するくだりが作者そのものだったら最高ですね〜。」

がく「そのシーンが作者モードだったら中山クンはいかしてるね(笑)」

たの「いかしてるね〜(笑)。この人って九州出身なの?う〜ん、九州の評判を落として欲しくないなぁ……。(←どこ目線の発言?)」

こきりこ「全体としてフワフワした印象の作品で、なんていうか……、あまり何も感じるところが無かった……。」

じょり「あとね、言葉の選び方が陳腐で無防備なところあるよね。水野さんの胸を『ほどよい膨らみ』とか表現してるんだけど、お前にとっての『ほどよい』なんて知らね〜よ!みたいな(笑)。」

こきりこ「ほどよい膨らみ……ね(苦笑)。」

じょり「考えて書いてんのかよっ!?ってつっこんじゃうよね。」

てづ「水野さんの発言(亡き兄のエピソードとか)が全部嘘だったら面白いですよね。全部作り話で、主人公が踊らされている、というようなね。」

がく「水野さんって不思議ちゃん枠ですよね?」

じょり「ヤらせそうでヤらさないし。」

あさてぃ「童貞キラー?(指先をいやらしく動かしながら)こういうふうに、こう誘っといて『ダメ』っていう感じの。女の趣味としてはそういうのもアリですね。」

「あさてぃさんが言うと深いですね(笑)。」

がく「主人公は水野さんの胸までは触ってるんですよ。そのあと膝蹴り喰らいますけど。」

あさてぃ「触っちゃいけなかったんじゃない?」

「じゃ、どうすればいいんですか?(真剣に)」

たの「発射寸前なんですよ!(←親父ギャグ)」

あさてぃ「発射しちゃえば良かったんじゃない?」

こきりこ「こういう女豹視点は必要だね〜(笑)」

てづ「褒める点が少ないんですよねぇ……」

たの「この作品を読んでターナーという画家を初めて知りました。」

「それが褒めっ!?それが褒めなのっ(笑)!?」

あさてぃ「さらさら読めるよね。」

たの「『空で歌う』ってタイトルはいいですよね。」

「……。」

たの「あれ?」

がく「受賞はありますかね?」

こきりこ「女性の選考者は良く評価しないと思いますよ。」

あさてぃ「エイミーがどう出るかだな(笑)。どんな斬りかたをするのかな〜。」

こきりこ「テルちゃんは?」

あさてぃ「テルちゃんはファンタジーな主人公が好きかも知れないね。」

がく「ファンタジーかファンタジーじゃないか、っていったらファンタジーの枠ですからね。この作品は。」

じょり「同じように男性を主人公にした作品なら『カツラ美容室別室』の方が感じがいいかもしれないね。」

がく「じゃ、次は『カツラ美容室別室』にいってみましょう。」