1月26日(土)晴れ

2ヶ月ぶりくらいに美容院へ。カット&パーマ&カラーリング。わたしの髪は染めないと6割が白髪なのである。20代に2ヶ月間平均睡眠2時間という過酷な仕事をした時に出始めて、以来増える一方。父も総白髪なので、まあ、遺伝でありましょう。
しかし、美容院での読書ははかどる。
筑摩書房から高等学校用教科書への掲載許可願いがきている。
とはいえ、もちろんわたしなぞの拙い文章が教材になるわけではない。恩田陸の「オデュッセイア」が教材になるについて、参考資料として以前「文藝」で取材してまとめたインタビュー原稿を転載したいという依頼なのである。しかし、小中高と落ち着きのない劣等生だった自分に、このことを伝えたらどんな顔をするのだろうか。なんか、怒り出すような気がしないでもない。
♯フリオ・リャマサーレス『狼たちの月』(ヴィレッジブックス)読了
「ほら、月が出ているだろう。あれは死者たちの太陽なんだよ」
この言葉が象徴的なように、これはスペイン内戦で倒れた名もなき死者たちへのレクイエムなのである。ここには、たとえばフランコファシズム反乱軍から自由を守るため国際義勇軍に加わったヘミングウェイの小説『誰がために鐘は鳴る』に描かれるヒロイズムなどひとかけらも見当たらない。ヒーローの面影どころか、すべての人からかつての面影を奪ってしまうのが、戦争という悲劇なのである。
〈第一部 一九三九年〉から〈第四部 一九六四年〉まで時系列に沿って描かれる「ぼく」の潜伏の日々。それを作者のリャマサーレスは静かで端正な、もの悲しい文体で淡々と描いていく。その“声”が、同胞同士が血を流しあい、故郷がドイツからフランコ側に提供された新型兵器によって焦土と化す無念と、3年に及ぶ戦いで死んでいった人々への切々たる弔意を謳う、これは痛ましくも美しい鎮魂歌なのである。
どこかで紹介するつもりなので詳述はしないけれど、とても良い小説と思う。以前訳された『黄色い雨』(ヴィレッジブックス)も絶品の“死者の書”だったっけ。
今日からスギ花粉対策で「クラリチンレディタブ」を服用し始める。花粉が飛ぶ前からこの手の病院が処方してくれる受容体拮抗・アレルギー性疾患治療剤を飲んでおくと、ピークの時にとても楽なのだ。去年もかなり助かった。みんなもそうするとよいよ。

狼たちの月

狼たちの月