練習風景・1 ―ファイターズ名護キャンプレポート 2.―

ナマスタ(生スタジアムでワクワクする)

すっかり、続報が遅くなりました…。だってだって…。やっと覚えた写真掲載の方法が一夜にして変わってしまっていたんですよ。写真をいろいろ修整して、さあ書き込むぞと思ったら。写真のサイズやら、操作を理解するやらまた一からやり直し(泣き言)。
 名護球場スコアボード

気を取り直して、練習風景の報告です。まずは打撃練習。
後で知ったところでは、雨天で室内練習の可能性があったのに、首脳陣が屋外練習を決行したとのこと。やっぱり空振りの可能性あったのね〜。運が良かった。
辺りにいた記者の人に「午後、どうなるでしょう?」と聞いたら、「天気が悪いからなあ…あ、でも明日(4日)が練習休みだから、結構自主練する選手いるかもしれないですよ」と教えてくれました。報道陣多かったですね。中田クン効果でしょう。この日、元近鉄金村・元西武大塚という選手OB解説陣や、フジテレビの渡辺和洋アナ等も見られました。 
 球場脇にプレハブのプレスルームが3棟ほど。

さて、初めて見たプロ野球のキャンプ練習。
これ本当に面白い!
特に、個人練習の時間に着いたのは大当たりでした。奥が深いもん見られた〜、という感じ。午前の全体練習を見ていたなら、もしかして、満足して後は美ら海水族館なぞに行ってしまっていたかも…と思うと、寝坊させてくれた低血圧体質に感謝でございます。

球場の中央のケージではバッティングピッチャーの球を打っています。
面白かったのは、その周りでやっているトスバッティングでした。もう、みんな、黙々と、延々と、打ち続けているのです。


ケージの周りのファウルグラウンドで、トスバッティングの練習が始まる。


そんな中、やはり段違いに凄味があったのが、稲葉選手と坪井選手の練習。

稲葉選手。去年のパ・リーグ首位打者です。
最初見た何本かの打球、ちょっと詰まって見えたのですよ。ああ、まだキャンプ始まったばかりだと、稲葉選手でもぽんぽん当たるわけじゃないのだなあ、などと思って近くに行って眺めておりました。で、そうやって見ていて、しばらくして気づいたのです。
本人の話を聞いたわけでもないので、ほとんど私の妄想、一人合点、つまり全部(たぶん)って話なんですが…。

稲葉選手素振り。3枚横並びにしたかったケド…。


彼はトスの球を全部同じところに投げてもらっているのでした。
その同じところってのはインサイド。稲葉選手は、そのコースを全部遠くに飛ばす、スタンドインさせる練習していたのです。それがまた、打ち方が普通ではない。腕をたたんだり、体を引いたりしてさばくのではなく、真ん中の球を打つ時と同じ感じで打っているのです。
うまく言えないのですが、バットの先寄りに当てて、フォロースルーの遠心力で運ぶのではなく、少し食い込まれてバットのやや根元寄りに当たった球を、スイングの速さと打ち上げる角度と体の回転の調整で遠くに飛ばす、という感じ。

 コンパクトなんです。バットの軌道が。

打った瞬間は、差し込まれちゃったな、フライだな、と見えるのに、打球がスタンドまで飛んでいきます。見始めた頃は、ちょっと詰まり気味でフェンスまでだった打球が、15分、20分と時間が立つうちにぐんぐん伸び始めて、次々スタンド入りするようになってました。

打ち損じた打席 スタンドイン!

そういえば、シーズン中も、フライかと思ったらスタンドインして「…あれがホームランになるのか…」という打球、ありましたねえ。ああいう打球はこういう練習から生まれるんだなあ。

とにかく、むっちゃ高度なインサイドの球のさばき方なんでないの?と呆れ、並の選手なら詰まってフライになって落ち始める辺りから、ぐいぐい伸びて行く打球に呆れ、延々と同じコースの球だけ練習し続けていることに呆れながら、1時間も見ていたのでした。

さて、坪井選手の方ですが、実は、そばでじっくり見学はしておりません。にもかかわらず、やっぱり凄いと思いました。


童顔ですが実は頑固系らしい
私が打撃練習を見に行った最初から、トスバッティングをしていた彼。稲葉選手の練習を見終えても、まだ打っている。守備練習をしばらく見て、振り返ってもまだ打っている。そして、出待ちをして選手のサインをゲットして戻ってみたら、それでもまだ打っている。おそらく3時間以上打ち続けていたと思います。

彼が書いているブログに、自分の練習量は人に負けないという自負の記述があるのですが、片鱗を見られた気がします。

坪井選手は、元々3割打てる力があって年俸億を稼いでいた選手。それが一昨年故障でファイターズから戦力外通告されてトライアウトに回り、それでも行き先が決まらず、大幅減俸の条件でファイターズに再雇用になるという、特異な経過で残った選手です。

そういえば稲葉選手だって、数年前にスワローズをFAしての大リーグ移籍が成らなかった時、日本で声をかけた球団がファイターズだけだったので入団した選手でした。稲葉選手はその経過を「拾ってもらった」という言葉で表現しています。

これだけ実力があっても、二人とも、もしかしたらプロ野球に残れていなかったかもしれないのですね。そういうピンチを乗り切ってきた二人の練習は、見ている方の視線を釘付けにする磁力がありました。

トスバッティングという地味な練習が、こんなに面白いということ、プロ野球選手にとって、どれほど重要な練習なのか見せてもらったこと。楽しい時間でした。

同じことを倦むことなく延々と続けられる、というのは一流のスポーツ選手の条件のひとつだと言われますが、プロ野球選手も確かにそういう人達でした。


上手くいかね〜と腰に手をやる。稲田選手。