2月1日(金)晴れ

F誌の原稿を書いて送稿。
丸の内ピカレリー1の18時50分上映回で『スウィーニー・トッド』を観る。
暗いタイトルバックにティム・バートンの名前が浮かび上がったかと思うと、真っ赤な血がしたたり落ちて、それがたくさんの歯車を伝わって人肉パイに流れ込んでいくオープニングから心の中で拍手喝采。『チャーリーとチョコレート工場』も楽しくていいんだけど、やっぱりこの昏い想像力と黒いユーモアこそがティム・バートンの真骨頂ではないのか。
主演のジョニー・デップの歌のうまさに驚くが、それ以上に素晴らしいのがヘレナ・ボナム=カーター。「ロンドンで最悪のパイ」っていうものすごい勢いでメロディが変化する曲を、パイを作りながら歌うシーンが圧巻なんである。
あと、トッドが客の首をかき斬った後に噴出する血しぶきでカメラが汚れるシーンに唸る。映画におけるカメラって、つまり観客の目の役割を担ってるわけでしょ。ティム・バートンは映画館という安全な場所からトッドの残虐な行為を眺めてる観客の“目”に血しぶきを飛ばすことで、観客をスクリーンの中に引きずり込み共犯者に仕立て上げたかったんじゃないかなあ。これは映画だからこそできる表現。拍手。
この映画で病的メイクを施したヘレナは広田レオナにそっくりだと思う。
終演後、20年来通っている「しも田」で東京ニュース通信社の編集女子らと深夜2時頃まで呑んで、タクシーで帰宅。