『予定日はジミー・ペイジ』

予定日はジミー・ペイジ

予定日はジミー・ペイジ

週2回の更新ペースにしてたのですが、他のコンテンツと歩調が合っていないことに今さら気づきました。週1ペースだとちょっとブログにしては間延びしてるなあと個人的には思うのですが、あとで息切れするのもカッコわるいので、のんびりめに行きます。

さて今日ご紹介するのは、直木賞作家・角田光代の小説。妊娠発覚から出産まで、日記形式で綴られる妊婦の等身大の心境。てなとこか。

正直、胎動がどうのとかそういう細部については「私のときはそんなんじゃなかったなあ」と私的体験が読書を邪魔してしまった。しかし妊娠・出産は十人十色のことだから、「わたしとぴったしおなじ!」と共感を覚える妊婦/経産婦読者もいるでしょう。

とはいえ、当初はぜんぜん母親になる自覚が芽生えないとことか(妊娠が判明したとき主人公は〈余命を告げられたような深刻な気分〉になる)、それでいてそれなりに徐々にふくらんでくる、もう祈りに似た想いなどの描写はさすが。角田さん自身は出産の経験がないけれど、今後経験されることがあったら、実際にどう感じるのか。書いてみたこととの違いとかどこかで読めたりしたらおもしろいなあ。

しかし、あとがきによると、この小説を連載しているときに方々からお祝いの手紙やプレゼントが続々と届いたらしい。殺人事件を書いてる小説家に「人殺ししたんですか!?」っていうあんぽんたんはいないと思うけど、こと出産となるとどうして実体験だと思われちゃうんでしょうね。それほどリアルだったから……というだけではないと思う。

ちなみにタイトルは赤子の予定日がジミー・ペイジの誕生日だという話から。それでいうと、うちは「予定日はピーター・アーツ」、でも「誕生日はトロツキー」でした。