中田翔クンウォッチ・大物だったなあ編―ファイターズ名護キャンプレポート 4.―

イケメンウォッチャー (純イケメンから逆イケメンまで、気になる選手を語る)

さて、キャンプでのイケメンウォッチング。何をもってイケメンというか。それさえファジーなウォッチングであります。一体、誰から?と悩みましたが、やっぱり彼から始めましょう。練習試合とはいえ、初めてかっとばしたホームランが、
いきなり場外弾〜!と連日話題の超大物ルーキー、
中田翔クン

我がパ・リーグは、ここのところ、次から次へと若アユのようにフレッシュな投手達が、素晴らしい活躍をしています。
昨年末のオリンピック予選のおかげで、非パのファンもそのことに気づきはじめてくれたような気がいたします。
でも、どんなに人気の選手でも、ピッチャーは全試合出場はできません。パがさらに盛り上がるためには、何としても、バッターにスターが現れてほしい。

ところがパ・リーグは、若手選手の中で、巧打者や好打者は出てきても、強打者はなかなか育ちにくいのです。
何せピッチャーが粒ぞろいで質が高すぎるし、どの球場も広いし、指名打者制なので打力の秀でた選手が長持ちする、というわけで、打者成績の、特にホームランの上位は、歴戦の古強者(ふるつわもの)選手や外人選手の指定席となっています。
中田クンは、そんな中で本当に久々登場してくれた<豪打の若武者>。ファイターズのみならず、パ・リーグの星!なので、彼を預かるファイターズの責任は、まことに重大なのであります。

……と、エスカレートするばかりの周囲の期待を知ってや知らずや。
名護キャンプでの中田クンはいたってマイペース。その周囲半径3メートルに漂わせるオーラは、おっとり、ゆったり、ほんわか。プロの練習の厳しさをいや増すような肌寒さの中、彼の周りだけは一足早く春風駘蕩…。

最初に彼をウォッチできたのは、サブグラウンドでのランニング。練習を終えて戻るダルビッシュ選手と入れ替わりに登場。でっかいです。腹回り&腰回りは、堂々の起き上がりこぼし体型。19歳とは思えぬ貫禄です。

レポート3.に載せたように、気の優しいお兄ちゃん、小谷野選手に連れられて、彼は大変足取り重く歩いてきました。
トラックではトレーナーの方(かた)がストップウォッチを持って待っています。
その姿を見るや、俄然早足で歩き始めたのは中田クン…ではなく、先輩の(それもはるかに先輩の)、小谷野選手の方でした。
中田クンはといえば、トレーナーが待っていようと、先輩が早足になって彼を置いていこうと、まったく動ずる気配がありません。それまでと同じペースで(つまり大変足取り重く)歩いていきます。
おいおい、いいのか?大丈夫か?新人君、と、ついつい心配になる私。

その時です。サッカーチームが練習していたグラウンドから、蹴り出されたサッカーボールがコロコロと中田クンの方に…。気づいた彼、くるりと振り返るとちょこちょこと走って、ぼーんとサッカーボールを蹴り返したのです。少数ながら近くにいたギャラリーは、もちろん大喜び。
蹴った本人はしばらくボールの行方を見やり、そしてまた、トラックに向かって渋々歩き出します。サッカーボールを蹴るためには走れたのに、トラックに向かうのは、どーしても大変足取り重くなってしまうらしいのです。

待たされているトレーナーと小谷野選手は…と見れば、にこにこしながら待っているんですねえ、これがまた。ファイターズだなあ。さすがは、かのワルビッシュ*1君さえノビノビ育てたファイターズだと、今度は妙に感心する私。

そうこうして、やっと二人のもとに着いた中田クンにトレーナーが掛けた言葉が、こちらまで聞こえてきます。
「よーし、さあ行こうかあ!……なんだ、おい、泣きそうな顔しとるなあ、お前…」


心底イヤそうな中田クン(左)と、どこか楽しそうなトレーナー(中)
泣きそうな顔の理由は直後に判明いたしました。小谷野選手と同時に走り出した中田クンでしたが…
「…うっわ〜、(ギャラリー全員驚嘆)… 」

ピンボケご容赦です。スタートから勢いが違う二人(左・中田クン)

半周も行かないうちにこれだけ↓の差が…。


遥か後方でぼんやりと白いのが中田クン。最後小谷野選手が緩めてもこれ。

「…遅っ…(ギャラリー全員のつぶやき)」…。

ウィキペディアによれば、50m走6秒2とあります。間違いでなければ、これはきっと、中田クンが体重70kg台だった頃(現在103kg)の記録でありましょう。

その後は一人、ランニングで絞られておりましたが…。

まったくほんとに…


あー、しんどー…

トラック練習の次に彼が現れたのは、慣れないサードの守備練習でした。ノックするコーチも、正面にだけそーっと打つ。受ける中田クン、おそるおそる取る。正面のゆるゆるなゴロだというのに、漂う微妙な緊張感…。

サードは本人の希望だったけど、先日、ファーストコンバートのニュースが流れてましたね。やっぱりなあ。練習見ていたら、ホットコーナーで横っ飛びする姿って、全然想像できなかったもんなあ。でも、ファーストの守備も難しいぞ。

元々外野手なので、慣れない内野を守るのは気の毒ではあります。
しかし、あの走力。稲葉・ひちょり・坪井・工藤といった、鉄壁の守備でおまけに巧打の選手達が揃うファイターズの外野枠。割って入るのはまずムリでしょう。
サードも去年から既に、レギュラー争いの激戦区。唯一ライバルの少ないポジションがファーストですから。
もしも内野守備もどうにも駄目となったら、外人選手達、ホームラン打者とのDH(指名代打)争いです。

ちょっと夢を忘れて現実を考えると、たとえ黄金ルーキーといえども、スタメンを確保する道のりは、かなりキビシく険しいのであります。

さてその後、彼がまたまた本領を発揮してくれたのは、練習後のグラウンド整備の時でした。
先輩達と並んでトンボを手にした彼、やおら後ろ手にずるずる引っ張って歩き始める。ん?何か違わないかな?それ…。
すかさず、小谷野兄ちゃんの声が響きます。
おーい!テニスかお前は!」。
…そう、引っ張って歩くのはテニスコートのブラシ掛け。トンボは押して掛けましょうね、中田クン。

持ち方は直ったけど掛け方はあまり変わらなかった。大雑把…。
時間の関係で、彼の打撃練習は残念ながら見られなかったのですが…。
とにかく何をやっても、何かやらかしてくれるわけです。見る人がいてもいなくても、やらかしています。歩いているだけでやらかしています。おいしい所だらけ。報道陣が追いかけるはずです。

グラウンドに現れたとたん、取り囲まれる。

イヤイヤやっていることさえ愛嬌になってしまうキャラ。加えてあの長打力。
やっぱり、去年のマー君と同じように、スターの素質がきらきらしていました。

うわさに違わぬ大物だった中田クン。現実はキビシイでしょうけど、大きく育ってほしいものです。願わくば、やらかしてくれる中田クンのままで。

*1:ダルビッシュ選手の少々不良っぽい話題や不遜に見える態度に対して使われるニックネーム)