サインボールの男たち―ファイターズ名護キャンプレポート6.―

イケメンウォッチャー (純イケメンから逆イケメンまで、気になる選手を語る)

オープン戦が始まったというのに、旅に出ていたためすっかり間があいてしまい、気の抜けたビールっぽい感じがなくもないのですが、もう少しだけキャンプの話題です。
そう、レポートの1回目に載せたサインボールの選手達。どれが誰のだか、お分かりになりましたか?

答え。サインの主は、真ん中、梨田監督。向かって左41番が、稲葉選手。右34番は、吉川投手、でございます。

梨田監督は、ちょうど歩いてくる所に遭遇したら、球場の外通路でサイン会が始まったので、すぐ書いてもらえました。

ファンに話しかけながら。字もお上手。

稲葉選手は、打撃練習が終わってベンチ裏に下がるのを目撃したので、もしかしたらと出待ちをしたのですね。並ぶのも待つのも大の苦手な私が、寒空の下で小一時間。
その甲斐あって、稲葉選手があがって出てきました。すぐに同じように待っていた人達がワッと並んだのですが、その前にゲット。

すっかりトレードマークになった、キャンプでの白ウェア姿で。

稲葉選手の前を離れ、振り返ったとき、通り道の脇でサインをしている姿が目に入ったのは、若手投手の吉川選手です。列がちょうど終わる頃で、こちらもほとんど待ち時間なし。

小学生と記念写真。年長組のお兄ちゃん、という感じ。

そんなわけで、はからずも、元選手、ベテラン、若手という、3世代のサインが揃いました。

梨田監督は、近鉄バファローズのキャッチャーでした。パの不人気時代真っ只中にもかかわらず、甘いマスクとソフトなトークで女性に圧倒的人気を誇りました。ラジオでレギュラーDJを務めていたこともあります。

当時、パの選手と言えば、パンチパーマにゴルフウェアが定番。その格好で肩をゆすって歩く姿は、「どこのチームの選手かな?」というより、「どこの組のもんや?」という方がピッタリくるようなゴツい選手が多く、女性の人気度は著しく低かったのです。そういう中での梨田選手の人気でしたから、希少価値は天然記念物的。しかも、確か彼もパンチパーマしていたような記憶があります。パンチでも女性ファンが集まるって、すごいことであります。(どちらかというと、玄人筋に、よりモテたという噂も聞いたような気もしますが…)

サインを書く梨田監督は、ファンに話しかけたり、気さくな雰囲気。パンチを帳消しにしてしまった甘いタレ目は現役時代と変わりません。でも目の形は柔らかいけれど、ちょっと顔をあげたりした一瞬、周囲の様子を見てとる視線は素早く鋭く、勝負事の現場にいる人の目だなあ、と思いました。

稲葉選手は、外野守備につく時に必ず走って行くので有名です。彼の獲得を決めたのは、高田前ゼネラルマネージャーですが、野球への姿勢を高く評価しての決定でした。ファンへのサービスも良い選手です。タイムリーヒットなどを打った後の守備。スタンドに対して帽子をとって深々と一礼するのも恒例です。

この日、長い特打ちを終えてから、出口で彼を待つファンの前に現れた稲葉選手。ワッと群がるファンに「並びましょか」と関西弁で声をかけ、サイン会が始まりました。並ばせれば切る場所が決め難くなります。群がった人を適当にあしらう方が、さっさと切り上げられるはず。
案の定、次々と人が後ろについて長蛇の列になったのに、稲葉選手はその長さに目をやることもなく、困った顔もせず、小雨の中でひたすらペンを走らせていました。1時間半を超えていました。

プロフェッショナルな選手。これが稲葉選手の印象です。数時間の見学中に見せてくれた姿も、プロのスポーツ選手として非の打ち所がない、という感じでした。これが表イナバ選手です。
が、これだけなら彼は、ただの普通のマジメな良い選手。去年こそ首位打者をとったものの、残してきた数字は<超>が付けられるほど高い率ではないですし、やや地味な好選手というところ。

実は、稲葉選手のほんとうに素敵なところは、裏イナバ選手がいるところなのです。超優等生な、グラウンドでの表イナバに対する、プライベートの裏イナバ選手のゴシップのいかれぽんち具合といったら、まるでハリウッドスキャンダル並み。女性と金銭。豪快にして、かつセコい。長くなるので(しかも馬鹿馬鹿しいので)、ここでは書きませんが、ゴシップの王道です。
表イナバと裏イナバの間のギャップ。その大きさこそが、ウォッチングに値する彼の複雑さ・面白さだと、私は確信しているのであります。

さて、最後に清々しく登場の吉川選手。
昨年の日本シリーズの先発時、プレッシャーの中でひたむきに投球する姿が、味方ファンのみならず、相手方ファンにも好感度大だった吉川クンであります。
わが書評王島の野球好き仲間の中に、「港々に女をおく船乗りのごとく、チームチームのイケメンをくまなくもれなくチェックする」と豪語するK女史がおります。彼女が、シリーズでの吉川クンを見たとき、「彼、まなざしがいい」とメールしてきました。あの時の吉川クンの、まっすぐキャッチャーミットだけを見ようとするキラキラした瞳は、確かに誰の心も惹きつけたように思います。

目の前で見た彼は、公称の身長(177cm)が「?」なほど小柄に見え、サインや写真をねだられてとまどっている様子で、まだまだルーキーの初々しさ、少年ぽさを残していました。

今年はまだ調子があがっていないようですが、2年目ジンクスに負けずに頑張ってほしいものです。
選手としての活躍と同時に、プライベートは、たぶんどちらかといえば(というか、きっと間違いなく)野放し平飼い状態のファイターズで、ルックスなどもアイドルの素質十分な彼の清々しさが、変わっていくのか保たれるのか。その辺りも楽しみな吉川クンです。