2月20日(水)おとなしい一日の巻

A誌、C誌の原稿を書き上げて、送稿。
♯デイヴィッド・リンジー『暗殺者の顔』(柏艪舎)読了
テロの脅威にさらされている世界に、不吉な警鐘を鳴らして戦慄的なミステリーだ。主人公は、顔の復元を職業にしている復顔アーティストのポール・バーン。ある日、彼の元にひとつの頭蓋骨が持ち込まれるところから物語は動きはじめる。頭蓋骨の主は、産まれてすぐ引き離されたせいでこれまで存在を知らなかった双子の兄ジュード。CIA諜報員だったジュードが、メキシコでの重要な任務半ばで殺されたことを告げられたポールは、兄になりすまして任務を遂行することを強制されるのだ。9・11の再現テロを目論むイスラム系テロリスト集団のボス、ガジ・バイダの懐に入り込み、その企みを明らかにするという、ひとつ間違えば命はない危険な使命を背負ったポールの綱渡りの日々を描いて、大変スリリングな読み心地をもたらす物語。
ポールにこの仕事を無理矢理引き受けさせた、CIAの汚れ仕事を担っているモンドラゴン(皮を全部はがされた剥きだしの顔に特殊シートを貼りつけ、始終スプレーで薬品を吹きつけている)をはじめ、人物造型がユニークで◎。最後にどんでん返しも用意された、読ませどころの多い国際謀略サスペンスと申せましょうか。

暗殺者の顔 (柏艪舎文芸シリーズ)

暗殺者の顔 (柏艪舎文芸シリーズ)