2月22日(金)川上未映子さん、おめでとうの巻

D誌、S誌の原稿を書いて、送稿。
18時、芥川賞直木賞の授賞式&パーティに出席するため東京會舘へ。実は初体験。有名作家やら、背広姿、スーツ姿の編集者やらがひしめくひしめくひしめく。でもって、川上未映子さんと桜庭一樹さんの前には、名刺を持った編集者や友人知人の皆さんが長蛇の列を作っており、アフリカの部族の方が見たら2人のことを女神かなんかだと勘違いするんじゃないかなーと思いながら見物。
ジュンちゃんを発見! 少し離れたところからロマンスグレイのジュンちゃんをぼーっと見てたら、アスペクトのT田くんが「記念写真撮りましょうよ」というので、ジュンちゃんにわからないよう何枚かパチリ。よい思い出になりました。
とか、なんとか、この授賞式については5月初めに刊行が予定されている『文学賞メッタ斬り! 2008年 たいへんよくできました篇』でリポート予定。ワルモノ大森望が例によって、密偵を放って(笑)得た貴重な情報を多々明らかにしてくれるので、楽しみに待つが吉。そのかわりと言っちゃなんですが、川上さんと桜庭さんの「受賞のことば」がとてもいいので、紹介いたしますと――。
川上未映子
子どものころ、青いという字をじっと見て、ちっとも青くないことに驚いた。はっとして、わあ。あたりをぐるり見渡せば言葉は、物は、考えは、ほとんどそんな具合であるのだから、いったいこれは何だろう。言葉とそれが指し示すものとのあいだに横たわる断絶のようなものが、とてもいらいらするし、大変だし、それでもやっぱり何もかもがもうそれだけでいいと思ってしまえるくらいにそれは時に鮮やかに発光するのだから、言葉というものはたまらない。
何かを行き来するこの一点をめがけてやってきた物語の首ねっこ、見よう見まねでつかまえて、思い切りやりあったらばこのたび大きな新人賞をいただいた。この機会をくださったすべての皆さまに、最大の感謝を全部で申し上げます。
読む人と書いた人、そして真ん中にある文章の、このみっつにとって絶対的に美しい結ぼれの場所が、気の遠くなるようなこの運動の途上にはきっとあって、それが見える。どんなことがあってもそこに行きたい。
桜庭一樹
『私の男』は自分にとって渾身の作品で、連載していた一年間は、書き終わるまでどうしても死にたくなく、飛行機に乗るのも厭でした。
指摘されるまでもなくつたない筆ですが、どうしてもこの作品をつくりあげたいという強い思いを、選考委員の先生方に受けとめていただいての受賞だと思います。かくなるうえは、しっかりと成長することで、今回のご恩返しをせねばと考えています。
わたしは新しい作家です。本物であれば、新しいものも、いつか必ずスタンダードになるはずだ……。そう信じて、スタンダードになるための次の戦いに出ようと思います。
お2人の受賞が我がことのように嬉しく、多幸感に包まれる一夜ではあった。