“ 育つ男 ”を見守る幸せ 

イケメンウォッチャー(純イケメンから逆イケメンまで、気になる選手を語る)

「誰かが育っていく姿を見守りたい」
という願望を抱いている人。結構多いのではないでしょうか。アイドルの追っかけなどは、ひとつの典型かもしれませんね。

「見守りたい」願望を満たしたい。
そんなあなたには、パ・リーグです。<育っていく男たち>を見守る楽しさが、心ゆくまで味わえます。

昨年は、願望満たされまくりの1年でした。続々と元気な若手が育つ中、特に素晴らしかったのが投手5人男。
ファイターズ・ダルダルビッシュ)21歳、マリーンズ・ニャー*1(成瀬)22歳、ライオンズ・ワク(涌井)21歳*2、の若手3羽ガラス*3と、新人王を競い合った、イーグルスマー君(田中)19歳、ライオンズ・キッシー(岸)*422歳。

勝利数・防御率・三振奪取率等々のタイトルを競い合う抜群の成績、エースの称号にふさわしい堂々のピッチング内容、熱いガッツポーズや冷静なマウンド捌(さば)きで魅力いっぱいの投げ姿。しかも、それぞれ個性的。
いやいや、もう申し分ないんですもの。「お見事!」の一語ですもの。見守る方のハートはめろめろ、目じりは下がりっぱなし。

でも、上出来な結果をただ喜ぶだけじゃあ、見守ったとは言いがたいですよね。やっぱり、そこに至るまでの過程を見なくては。

体力・技術の壁にぶつかって、落胆したりとまどったりする姿を見ているからこそ、突然ぐんと飛躍したり、いつのまにかしっかりしてきたと感じた時に、「……いやあ…頑張ったんだねえ……」と、しみじみできるわけであります。
未熟な姿・未完の部分を知ること。見守るキモチの醍醐味はそこにあります。
昨年の彼らは、もちろんそんな醍醐味も十二分に味わわせてくれました。

例えば昨年のクライマックスシリーズ第5戦*5
連続完投を続けた疲労が見えて、勝っていながら途中交代となったダルは、下がり際に不満そうにボールを投げつけて不評を買いました。ニュースが伝えるのはそこまでです。

その後。
控え室からベンチに戻ったダルは、大好きな平野コーチの隣に座って、口をとがらせながら一生懸命何か訴えて喋っていました。
明るく笑いながら話を聞いてあげていた平野コーチが、そんなダルの頭をぽんぽんと叩いて肩を抱いてやり、そのとき、ダルの表情からいつものふてぶてしさが消え、すっかり子どもの顔になっていました。

同じクライマックスシリーズの最終戦
パ・リーグ公式戦15連勝という<負けない投手>、シーズン中に老獪なベテランのようなピッチングを続けてきたニャーが、最後の最後で乱れて負けました。
茫洋として物事に動じない性格に見えるのに、もう味方に勝ち目が無くなった9回、彼はベンチで顔を覆って泣いていました。
そうして、表彰式後のファンへの挨拶に歩き出してもまだ、タオルで目をぬぐっていたニャーが、マリーンズのファンや相手のファイターズの選手・コーチに声をかけられて、ようやくほっとして微笑んだとき、やっぱり少年の顔に戻っていました。

無表情に、沈着冷静な投球をするワクはしゃべるのが苦手です。
昨年、勝利投手になったときのこと。ヒロイン(ヒーローインタビュー)で「あの………」と言葉に詰まったワク。隣にいた打のヒーロー和田選手*6に「…なんて言えばいいんですかぁ?」って聞いて、「…そんなの自分で考えてください」と突き放され、お客さんは大笑い。
親友のダルと一緒になれば、くっついて歩いて<ワクビッシュ>などと呼ばれ*7、コワモテだけど優しかった大先輩、石井貴投手の引退式のときには泣きじゃくり…。
マウンド上でのクールな姿とは似ても似つかぬ甘えん坊です。

どれも、普通のニュースでは伝えられない、彼らの素顔。
もちろん、マー君にもキッシーにも、たった1年足らずの間に、成長過程の葛藤が見えてくるエピソードが多々ありました。

みんな、ようやく少年から脱皮したぐらいのところなんですね。野球ではもう一流選手のようだけど、まだまだ不安定で未熟さを抱え、なんとかそれを乗り越えようと四苦八苦している。そういう面を知ると、そのプレーの見事さは、一段も二段も輝きを増します。

パ・リーグは、選手達のこんな姿をいくらでも見られます。
というのも、パには、未熟で未完成な選手が失敗を重ねながら育つ姿を見守る風土があるからです。それは、やっと育って一流になった大物選手が、トレードやらFA*8やらで、セ・リーグメジャーリーグに次々移籍していなくなってしまうため、多少瑕疵(かし)があっても新戦力を育てるしかない、という、実に切ないパ・リーグ事情の副産物なのですが…。

伸びてきた新芽が、ひ弱かったり曲がっていたりしても間引かずに見守ります。
そうしますとね。やがて、まっすぐな大木や、ひねた潅木(かんぼく)や、派手な花や、しぶとい雑草…というふうに、それはもう個性的でたくましい選手達が続々育ってくる、ってことを知っているからです。

入団早々から素行不良で叩かれていた*9ダルが、潰されることなく短期間でエースになれたのも、未熟なもの・未完成のものを愛してやまないパだったから、だろうと思います。

さあ、08年の開幕戦3試合が終わりました。
どうやら今年も、<見守るシアワセ>をたっぷり味わわせてもらえそうです。

もう一度申します。
<育つ男を見守りたい>あなた!
さあさあ、どうぞパ・リーグへ!!

*1:投げ終わったフォロースルーの手が招き猫に似ているというのでついたあだ名です。顔もなんとなくドラえもんに似た癒し系なんです。

*2:ライオンズHPの7月5335-0048ご覧ください、頭の位置のぶれないフィニッシュが素晴らしい。http://lions.allsports.jp/proofing.php?ev_id=53335&photo_no=0048&gr_id=4&page=0&idx=3&ct=pic&PCSESS=e22b2098a004ba995e927d62ea7d577c

*3:http://jp.youtube.com/watch?v=CHXdIUcvcug&feature=related

*4:露出度少ないのですが実はプリンスです。http://lions.allsports.jp/proofing.php?ev_id=53332&photo_no=0086&gr_id=6&page=0&idx=8&ct=pic&PCSESS=acd92d336d5354380d354beddbe39f1e

*5:日本シリーズ出場の権利をかけた、パ・リーグ代表決定試合のことです。

*6:ライオンズの主力打者でしたが、今年FAでセのドラゴンズに移籍しました。

*7:昨年の五輪予選のチームメイト、土壇場でスクイズバントを決められる4番と株をあげた、マリーンズのサブロー選手が、自分のブログの日記でワクのことをこう呼びました。http://ameblo.jp/saburo-blog/day-20071204.html

*8:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%B3%E3%83%88

*9:喫煙問題やらパチンコ問題やら年上女性との交際やら…その度に当時の高田GMが頭を下げて歩いてました。