ささやかなシンクロニシテシティー(意味ある偶然)2.
ウチスタ(お家がスタジアム、部屋観戦でドキドキする)
2004年つながりだった4人のエース、ダル・ワク・金子・岩隈。岩隈は、2004年以来の完封勝利をあげました。で、3人の若者たちのつながりは、というと。
彼らは全員、2004年ドラフトでプロ野球に入ってきた選手たちでした。
金子は、騒動の渦中の球団オリックス・ブルーウェーブが、自由枠で獲得した選手。岩隈との対戦は、ブルーウェーブに入った選手と背を向けた選手の対決でした。そういう試合で、過去をふっ切るような岩隈の完封劇が生まれたのも、何かやっぱり運命っぽいのです。
金子は、あの年の、涙する岩隈の姿を知っていたでしょうか…。
プロ野球が揺れに揺れた2004年にプロ入りが決定した選手たち。時勢の荒波に翻弄される選手やファンの姿を目にしたでしょう。
そしてたぶん、プロになり立ての自分たちだって、いつどうなるかわからないんだと、ひしひし感じていたでしょう。
そういえば、ダルやワクは折りあるごとに、「自分は日本の野球を盛り上げたい」という言葉を口にします。
彼らが2004年にプロに指名されたこととその言葉は、深いところでつながっているように感じます。
タロットカードには<運命の輪>というカードがあって、<幸運、転機、向上>を意味するそうです。
危機をバネに飛躍した素晴らしい選手たちと、ファンが詰めかけるようになった球場…2004年、きっとパ・リーグは<運命の輪>のカードをひいたに違いありません。
…などと、
野球中継を聞きながら、そんなことをあれこれ考えていると、ラジオからある曲が流れてきました。
文化放送ライオンズナイターは、交通情報のときにこの曲をBGMで流すんです。
パ・リーグ連盟歌、『白いボールのファンタジー』。
再編問題で明日をも知れなくなってしまったパのチームのファンは、大好きなチームを守ろうと駆けつけた球場で、敵味方関係なくこの曲を歌い、絆と連帯感を強めていったのです。
…ということを、2004年当時の私はまだ知りませんでした。
その前年、ファイターズが東京を捨ててしまうことが決まっていました。周りにパ・リーグファンの仲間もいない中、長いことひとりで球場通いをしていた私は、ちょっと気持ちがくじけていて…。
そこにもってきての2004年。
不用品扱いされるパのチーム。楽しむムードの消えた球場…。
なんだかもう、いろいろなことが寂しくて、その頃は野球から目をそらしていたのです。
『白いボールのファンタジー』*1のことを知ったのは、ずいぶん後になってからでした。
だからこの曲を聞くと、意気地がなかった自分や、諦めなかったファンの健気さや選手の頑張りを思い出して、ちょっと胸がちくちくします。
かわいい、いい曲なんです。
http://pacific.bko.to/fantasy/
(紹介してくださっています。メロディーが聞けます。急に音が出ますのでご注意ください)
すべてが2004年の頃を思い出させる、ささやかなシンクロニシティーが起こった木曜日。
今度はきっと、何があっても目をそらしたりしないよ、とがらにもなく心に誓ったりしたのでした。