3月1日(土)トークショーをしたの巻

16時から青山ブックセンターで『百年の誤読』刊行記念トークショーを相方の岡野宏文さんとおこなった。ゲストは翻訳家の鴻巣友季子さん。
ちょうど前日に、河出書房新社から出ている世界文学全集のヴァージニア・ウルフ灯台へ』を訳し終えたばかりだという鴻巣さんの、新訳のことは「訳し直し」ではなく「訳し重ね」と言いたいという言葉が心に残る。
豊崎 新訳によって鴻巣友季子の読みがもう1つ重なる。で、その行為によって、『嵐が丘』という名作が更新されていくんだとわたしは思うんです。更新されて生き延びていく。次世代に手渡されていく。そこにはもちろん訳者だけじゃなくて、読者による読みの更新も加わりながら、100年後へとつながっていくんでしょうね。
鴻巣 読みの土壌というのは、糠床みたいだなと思います。ちょっとずつ酵母を加えて何十年も使うことで、糠床はだんだんいいものになっていきますよね。糠床って1つ1つが全部違っていて、同じものはないと言いますし。
終了後は打ち上げ宴会。友人知人、編集者の皆さん、『世界文学ワンダーランド』の牧眞司さんなど大勢の皆さんが参加してくださって賑やかにグビグビ。海外文学コアのファンは日本にたった3000人しか存在しないと言われているわけですが、牧さんはその盟友ともいうべき存在。久しぶりに海外文学の話などして刺激を受けた次第なんである。例によって最後は鳥良で朝までコース。ボロ雑巾のようになってタクシーで帰還。