「ウィッカーマン」（2006／米）

ウィッカーマン [DVD]

＜ものがたり＞
ハイウェイパトロールの警官エドワードは、ある日巡回中に少女と母親の乗ったワゴン車に遭遇する。エドワードがその車から離れた瞬間、トラックが激突し、車は爆発炎上。ショックで休暇中の彼の元に一通の手紙が。数年前、結婚直前に行方をくらましたウィローからだった。最愛の娘が失踪し、誘拐された可能性があるので自分の故郷の島へ来て探して欲しいというSOS。救えなかった少女の残像から逃れるべく、一人島に向かうエドワードだったが…。

日本でもやっとDVD化された７３年英国産カルトホラーのリメイク。オリジナルをボロボロになったVHSで観た時はぞーっとしたものですが、所詮アメリカ版だし…と４割ぐらいのハンディ付けて観たにも関わらず、これまた肩透かしもいいとこのトホホな仕上がりとなっていました。

一番の問題は主役のニコラス・ケイジ（以下ケイジ君）の面構え。目がタレ気味どころかタレまくること博多名物にわかせんぺいの如し。
しかしそれよりも気になるのはそのほうれい線だ！！！！！ハリウッドスターですがいいんですか？と他人事ながら気になりすぎるあのクッキリ具合。
そんなツラのケイジ君なのに、設定は「タフな男」。パトロール中は皮ジャンにグラサン（でも外したらタレ目）だからともかくとして、島に行ってからはなぜか肘あて付きのジャケットにネクタイ（←これがまたダサい！）。どう見ても田舎出のオッサンなのにスラング使ったりして、島民女性は一様に「タフよね」とか「そんなタフなところにウィローは惹かれたのかしら」なんていちいち駄目押し。ニヒルだと思って苦虫噛み潰してる鶴太郎を観るのと同じぐらいの気恥ずかしさ。

なんか隠してる元婚約者に「その子の父親に助けてもらえばいいじゃないか！」ともっともな理由でブチ切れるケイジ君に「その話はまた今度」って、普通それが先だろ！！（笑）　なんだかんだ引っ張ってって、結局かなり後半でやっと「あの子はあなたの子供なのよ！」と言われたケイジ君は大ショック！！！　いや観てる方はもう最初からそうとしか思えなかったんだけど（笑）。別れた時期と子供の年齢とか考えないか？そんなケイジ君に捜査が出来るのかと相当不安になるのはそれだけじゃなくて、どこに行っても女子供にバカにされるだけなんですね。蜂アレルギーがあるという伏線（？）貼ってあるんですが、中盤を過ぎた頃やっとミツバチに気がついて「この島はミツバチだらけだ」って、命の危険があるくせにボーっとチャリ漕いでたらいつのまにか養蜂場のど真ん中へ！！早く気づけよ（笑）。島の長老オバハンにどうやって助けてくれたのか聞くと「昔からの方法でよ」って言われただけで素直に納得。他にも食卓のハチミツ（『トゥルー・ロマンス』でブラピがヤクに使ってたクマの入れ物のやつ）の中身がもう無いとか、特産品のくせになんで市販のハチミツなんて出してるんだとかどうでもいいことにこだわる彼。ここらへんがナメられてる原因だとはちっとも気づかないケイジ君。娘の姿らしきものを追いかけ、声がするので古い貯水場に飛び込んだら閉じ込められてパニック！＜普通に考えたらあの満タンの水の中からじゃ声は聞こえないと思うんですが。　去っていく人影に向かって「助けて！」って叫ぶんだけど、その人が閉じ込めたんじゃ？（笑）　

そんなこんなで、娘を探して孤軍奮闘、というより島中の女子供に小突き回された挙句、オリジナルだと恐怖のラストにつながっていくところが、リメイクの最後はまるでいじめられっ子の逆ギレ。ヘンな宗教の生贄にされかけてる娘を救おうと、子供にガンつけて怒鳴りちらすわ、宿のおねーちゃんは蹴り飛ばすわ、オバハンはぶん殴るわ、女教師にピストルをつきつけてチャリは奪うわと、ここぞとばかりに女連中に復讐（笑）。まあそんなことしたところで、ケイジ君が呼ばれた理由が明らかになり、オリジナルとほぼ同じラストで終わるわけですが、ここまで持って来るためにあのまわりくどさ！！！最初から「実は別れた時子供が出来てて、パパに会いたいっていうから来てくれない？」で良かったんじゃないか？？（笑）

というわけでオカルトっぽさ皆無でマヌケに終わったリメイク版ですが、言い訳したいんだかラストに６年後…と称するオマケ付き。スパイダーマンのグリーン・ゴブリンJr.ことジェイムズ・フランコが溢れる笑顔でナンパするシーンで終わります。誰へのサービスだ（笑）。

予想通り、オリジナルとは比べ物にならず。最もヤバかった女子供の裸踊りシーンも無し。無いだけならまだしも、それで使ったのと同じような紐のついたポールが学校の庭に置いてあったりして、これまた言い訳がましいというか、根性無いというか。胎児のホルマリン漬けなんかでお茶を濁してどうするよ。
第一このジャケット↓みたく、ガキの眼なんか光らないよ！！！JAROにチクるか（笑）。