「オープン・ウォーター2」(2006/独)

 

<ものがたり>
学生時代からの仲良し5人組が5年ぶりに集まった。ダンの持つ豪華ヨットの船上で、ザックの誕生日を祝うことにしたのだ。大海原でパーティを楽しむ夫婦2組と赤ん坊、そしてダンとその彼女の7人。そんな中、母親になったばかりのエイミーはライフジャケットを着たままだった。実は彼女は海恐怖症だったのだ。ひとしきり酔っ払った一同は1人また1人と海に飛び込む。最後に残ったダンは、いやがるエイミーを抱いて無理やり海中にダイブ。気を失うエイミーを見て、ダンを糾弾する一同。夫のジェイムズが船で介抱しようとすると、全員が恐ろしいことに気がついた。なんと船に上がるハシゴが無かったのだ…。

この物語は実際の事件に基づいています。
という一文がこれほどまでにマヌケに思えたこと無かったんじゃねえの?というぐらい、これが実話とは思えないスットコな話。海洋サスペンスじゃなくてただのヌケ作の人災の話なんで緊張感もゼロ!!!
海上で船の周りをウロウロ(立ち泳ぎでちゃぷちゃぷ)してるだけのシーンが60分以上続くという、観てる方にとっては拷問のようなタルい展開。以下、早送りで説明します。

・ ダンに向かって一同大激怒!「なんでハシゴが無いんだ!!!」
  → 以下この台詞と状況は頻繁に随所で使われます
・ 船の手すりに向かって全員がジャンプ!
  → 見た目かなりシンクロっぽいのが余計情けない
・ バカ女が「脚に何か触ったわ!サメよ!サメが来るのよ!」と大騒ぎ
  → 結局ガセ
・ 船尾に立ってるアメリカ国旗に向かってジャンプ!掴んだ!
  → 体重が重すぎて端っこを破って終わり
・ 手すりにぶらさがってた上着に入ってた携帯から着信音が!上着ゲット!!
  → 手すり方面、死ぬほど確認したはずなのになぜか見落としていた
・ 姉からバースデーソング!向こうは聞いてねえ!ブチ切れて自ら携帯水没!! 
  → ヤケになるとなんでもモノを投げつけるアメリカ人
・ 水着を脱いでナイフで切ってロープにしよう!
  → 案の定千切れるため、以降はマッパで立ち泳ぎを余儀なくされる皆さん
・ そういえば船体のこのフタみたいなものはなんだ!ナイフでこじあけたら!?
  → これに気づくまで多分数時間経過。最初から見えてたけど
・ 船を傷つけるな!ダンともみあってナイフはずぶりとザックの腹に!!
  → ここまでくるともはやギャグなのか?
・ 僕が潜って船底を調べる!息が続かなくて急浮上したらスクリューに激突!!
  → 今度はジェイムズが頭蓋骨骨折らしい

そうこうしてる間にバカ女ミッシェルは力尽きて溺死。刺殺死体と脳内出血死体も出たことで、ザックの妻ローレンは北海道までスノボを教えに行ったことがあるというぐらい運動神経がいいという設定なので、岸まで遠泳。残されたエイミーとダンには激しい雷雨が襲い掛かる!! でもこのまま全員死んだら「実際の事件の顛末」を語る人がいなくなるので絶対に誰かは助かるんじゃ?もうなんでもいいからいいかげん早く終わって欲しいと思ってたら、ヤケクソになってゴーグルを壊したダンが、破片を例のフタの隙間に差し込み、自分を踏み台にしてエイミーをデッキに上げた!大嵐で真っ暗な中、即座に電動ハシゴのボタンを見つけてハシゴを降ろすエイミー!あのフタはハシゴのハッチだった!!やっぱし。完。

予想以上に脱力な出来。しかしこの映画の一番の問題点は、船にナイフを立てたザックの邪魔をして結果的に殺したことで、皆に糾弾されたダンが語った驚愕の事実。

「なんで俺が(ザックを刺してまで)船に傷をつけるのを止めたのか教えるよ。実はこの船は俺のじゃないんだ!俺はメールボーイなんだよ!ヨットなんて買うどころかレンタルする金も無い!バーで(女をナンパするだけのために爪に火を灯して買った)2000ドルのスーツを着て、社長のヨットの写真を見せたら女が寄ってくるんだ!ウソばっかりついてて悪かった!許してくれ!」

おいちょっと待て。お前はどっからそのヨット調達したんだ!路駐のチャリじゃあるまいし、カギ付いてないのか?? ていうか、なんで操縦できるんだよ!!!!!

というようなあまりにもザッパーな設定の方が気になって誰が死のうがでもそんなの関係ねーという脱力作品でした。実は冒頭で既に兆候が。どっかの山でビデオ撮影(『クローバーフィールド』よりは撮影技術は上)してたご一行。ザックが坂から転落。怪我して腕が上がらないなんて皆で騒いでたから、その後のパニック劇につながるのかと思ってたら、いきなり画面上に「その5年後」のテロップが。全然関係ないじゃんよ!!!!! なんだったんだあのシーン(笑)。