6月14日(土)1億光年ぶりの書評王の巻

毎月恒例の書評講座の日。今月のゲストは音楽評論からミステリ評論まで手広くこなす円堂都司昭さん。課題本はエンリーケ・ビラ=マタスの『バートルビーと仲間たち』(新潮社)で、課題テーマは「雨」。
将来は作家になりたいという夢をふくらませていた才能豊かな少年が、憧れの作家ゴンブロヴィッチに会えた超ド級の感激から、自分は家具でしかないのだという無力感に支配され、生涯家具の絵ばかりを描くようになってしまった――。

バートルビーと仲間たち

バートルビーと仲間たち


バートルビーと仲間たち』は「新潮」2001年10月号に抄訳された画家クレマン・カドゥのエピソードを読んだ時から、ずっと全訳化を待ち望んでいた小説だったし、読んだら期待にたがわぬ傑作だったので、1冊でも売上げに貢献したいと思って課題本に選んだのだけれど、受講生の「書評を書くのが難しかった」という意見がちらほら聞こえ、ちょい反省。すっごく久しぶりに書評王になれて一安心したものの、自分が得意なジャンルの小説で書評王になったのはちょいずるかったかとまたも反省。
講座の前にはちょうど北海道から上京なさっていた作家・朝倉かすみさんに、秋の文学フリマに向けて制作する「書評王の島 vol.2」用のインタビュー。朝倉さんはそのまま講座を見学し、打ち上げにも参加して下さったので朝倉ファンが多い講座生は大騒ぎ。朝倉さんは翌朝週刊誌の取材が入っていて、円堂さんも翌日地元のお祭りに参加しなくちゃいけないのに深夜までおつきあい下さって、大変楽しい一夜だったんでした。