「追撃者」(2000/米)

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<ものがたり>
ラスベガスで取立屋をやっているジャック・カーター(シルベスター・スタローン)は、かたぎの弟が飲酒運転で死んだと知り、急いで故郷へと向かう。父親の酒酔い運転など信じられないと言う姪の言葉から、カーターは弟の事故に疑問を抱き、事件の真実を暴くべく、単身、地元組織に立ち向かうが…。

「狙撃者」(1971/英)のリメイク。本国では未だに大絶賛のオリジナルは、日本ではDVD化もされずレンタルビデオさえも流通していないようなので、あえてネタばらしをすると、この作品をカルトにまでひきあげた超絶にクールな死にオチが、リメイクでは正反対にも程があるほど丸く収まるのんきオチ。リメイクにする必要全く皆無。

しかしオチだけではなかった意味不明なスタローン(以下スタ)篇。まわりはアロハシャツとか着てる奴ばっかりのラスベガスで1人背広にネクタイ。しかもカフス付き。取立屋という商売上(というかスタというキャラクター上)、殴る蹴る殴る殴る殴るシーンの連続なのに、激しく動きづらそうな服装である。格闘技専用背広か?(参考:レーザーレーサー)  でもやっぱしスタなので肉体見せびらかさないと。ホテルでランニング姿で寝転ぶシーン、刺青の入った筋肉モリモリの腕を強調して何してるのかと思ったら…、なんとこれが靴磨きだったという驚愕の真相。

背広以外にもわけのわからないオリジナルリスペクトが随所に。オープニング、ずーっと音信普通でほったらかしてた弟の訃報を聞き、親分をぶっちぎって葬儀に駆けつけるスタ。オリジナルはロンドンからニューカッスルへの移動なので当然列車なんだけど、なぜかこんなとこだけ真似したかったのか(もっと他のところに気を遣えよ!)、アメリカなのにラスベガスからシアトルまで列車移動。製作者の誰かがマズいと思ったのか、「なんで列車なんだよ。武器でも大量に持ってくのか?」みたいなツッコミの台詞が入れられてるのがわびしい。でも返事が「2−3日で帰る」ってスタ、返事になってない!なんで列車なのか余計に意味不明。いっそのこと武器大量持参した方が説得力あったのに。

で、結局弟の死はシアトルのヤクザ組織の仕業で、エロサイト経営のミッキー・ロークが実行犯だとわかる。腕っぷしは強いけどPC音痴のミッキー、自分ではサイトが作れないもんだから、ゴルフ好きオタクのアラン・カミングを抱き込んであこぎに稼いでいたのである。ただのエロオヤヂの金儲けかと思ったら、未成年者(自分のゴスロリな姪も含む)も毒牙にかけていたのでスタ大爆発!シアトルの市街でど派手なカーチェイス!そんなに運転上手いならレーサーになった方がいいよマジで!!ていうぐらいなぜか運転が上手いのだが、それまではロッキーというよりドラゴ(『ロッキー4』参照のこと)並にべらぼうに凶暴で肉弾戦に強かったはずが、クライマックスでミッキー(当時44歳)とタイマンはったら、いきなりボコボコにやられまくるスタ(当時56歳)。得意の猫パンチ炸裂でスタを叩きのめしたミッキー、意気揚々とクラブでおねーちゃんをはべらせてると、地獄の底から這い上がったかのような満身創痍のスタにボコられて昇天。…はいいけど、あんなに強いくせになんでその前あれほど無防備に殴られてたのかスタ!!! ミッキーへのサービスか?プロデューサーに名前無かったけど。(笑)

というわけで悪い奴はみんなやっつけ、さっぱりとした身なりでラスベガスに帰る主人公。実はそれまで『フラッシュ・ゴードン』のミン皇帝みたいなドジョウヒゲのドロボー面だったのである。そんなヒゲも剃り落とし、お歳暮のハムのCMのようににっこり微笑み、姪っ子から「叔父さん素敵!」と誉められてさわやかに去るスタ。エンドマーク。

…ていうかいくら死んだのが全員ヤクザだからってお前は大量殺人犯なんだよ!!!警察はどうした!
尚、リスペクトとしてオリジナルに主演したマイケル・ケインが出てますが、丸腰のところを後ろからスタに撃たれます。リスペクト…なのかこれ???