8月1日(金)失われた時を求めての巻 その2

7月15日(火) 第139回芥川賞楊逸『時が滲む朝』、直木賞井上荒野『切羽へ』に決定。井上さんはいいけど、マダム・ヤンに芥川賞授賞ってのはどうなの。他の候補作もたいした出来じゃなかったので相手関係に恵まれての受賞とはいえ、いまどきなんでこんな古めかしい近代文学のような小説を読まされなきゃならないのか。受賞作は民主化運動に身を投じた中国人青年が天安門事件後、日本に移住し、北京五輪反対運動などしながら悩みを抱え生きている姿を描いているんですけど、まあ、そういう「わたしには書きたいことがある!」みたいなテーマ主義的文学観が根強いお年寄りの選考委員によって支持されたんでしょうね、きっと。しかし、絵が描ける象や手話で会話ができる猿が存在する昨今、日本語の読み書きが達者なだけの中国人をこれほど高く評価しなくたって。そんな意地の悪いことを言うわたしを、今後の作品で見返していただきたいものです。
18日(金) 白水社のS木さんと南青山MANDALAでジャズ・ギタリスト小沼ようすけのアコースティック・ライブを聴く。俳優の藤原竜也似のカッコいい容姿の上、若手きってのバカテクニシャン。なんで、もっと人気が出ないんだろ。押尾コータローくらいの知名度はあってもいいだろうに。
19日(土) 銀座「しも田」で月1回開催している落語会へ、友人のF山さんと。もう10年以上、ここでずっと古典落語をきかせてくれている三遊亭鳳楽さんは大名跡圓生」の襲名が決まっている。人情噺がとりわけうまい落語家で、わたしはこの人の「文七元結」をきくたびに泣いてしまうのだった。
20日(日) 4日にソプラノ・ウクレレを購入して以来、我がウクレレ熱は高まるばかりで、内緒だが、9日にはソプラノより少し大きい「`I'IWI」のコンサート・サイズまで購入してしまったわたしは、親しい人たちとウクレレ部を結成。この日、第1回目の合同練習を池袋のカラオケ店で決行したんであります。あー、ウクレレ、超楽しい!
22日(火) ミステリチャンネル収録。
24日(木) 東池袋のリブロで開催される三浦天紗子の『そろそろ産まなきゃ』(阪急コミュニケーションズ)の刊行記念トークイベントで司会の役目を仰せつかったのだけれど、会場に向かう前、急に思い立って髪の毛を白くしてみたんですの。もともと白髪体質で20代後半からは増える一方。今では半分以上が白髪化しているので、それなら思い切って白くしちゃえ、と。周囲の反応はまずまず。子なしどころか、結婚すらしていないわたしにとってはアウェイ感いっぱいのトークイベントで、実のある話は何もできなかったんですが、著者の三浦さんとゲストの古屋美登里さんが有意義なトークを展開してくれて成功。4時まで続いた打ち上げも大変楽しかったんですの。
25日(金) おかげで飲み過ぎ。二日酔いで吐き気が消えない胃袋を抱えて「エクス・ポナイトvol.2」へ。現地で岸本佐知子さんらと合流。「古川さんと円城さんじゃ、どうみたって噛み合わないだろう」と、その噛み合わなさこそを堪能したいと思っていた「佐々木敦×古川日出男×円城塔」の座談が意想外なまでに噛み合ってしまい、濃い内容になったことに興奮。この2人のロング対談は、どこかの文芸誌で実現させるべき! 終了後、岸本さん、白水社のS木さん、青月にじむさんと飲んでいたら、そこに円城さんと河出書房新社のS上さんが合流。閉店の4時過ぎまでバカ話で盛り上がりつつ、飲んだり食ったり。二日酔いはいつの間にか治っておりました。
28日(月) 舞城王太郎の巨篇『ディスコ探偵水曜日』のゲラを読んでいる最中、何の気無しに首筋をかいていたら、垢がボロボロと。夏が深まっているなあと思う。
29日(火) 渋谷「わらじ屋」で、「エクス・ポVOL.5」の「プロフェッショナル読者論」を佐々木敦さん、仲俣暁生さんと。今回の課題本は『ディスコ探偵水曜日』のみ。しかし、佐々木さんと仲俣さんは頭がいいね。そういえば、大森望といい、わたしが仕事で話をする男子はみんな頭が良いですねー。せめて面白い引き立て役になりたいと思う。
ああああああ、疲れた!