“空気読む”のも過ぎたるは… ―２００８ マツダオールスターゲーム―

ウチスタ（部屋観戦でﾄﾞｷﾄﾞｷする）

木曜・金曜と、＜いたってフツーの試合みたいな平日ナイター＞で開催された今年のオールスターゲーム。ま、＜ついオープン戦と勘違いしてしまいそうなデーゲーム＞だった去年のオールスターよりはまだ、球宴ムードが残っておりましょうか。あれやこれやの試合がぐんと増えたここ数年は、やりくり日程もいたしかたないんでしょうねえ。
結果は、
第１戦は、決してパがサヨナラ勝ちしたから言うのではなく、ほどよいシーソーゲームの好試合。
第２戦は、断じてパがボロボロ負けしたから言うのではなく、違う意味での面白さ満載のおバカ試合…。
初戦は、足かけ３年負け続けていたパがようやく実力発揮で６連敗を阻止したんですが、これも、９回裏登板したタイガース・久保田投手が素晴らしいエンターティナー魂を発揮し、＜劇場開幕→炎上→サヨナラ閉幕＞という見事な演出で盛り上げてくれたおかげ。*1
やっぱり、ご厚意を受けて、受けっぱなしは大人としていかがなものか。というわけで翌日は、
＜「２２歳でその出っ腹はヤバいよ…」ニャル瀬による、オールスター被安打記録更新フルボッコ＞*2　*3
という久保田投手の数段上を行く大炎上だけでは足りず、
＜ヤス＆ツヨポンのアイドル系二塁手による、「恥ずかしくてほっぺを赤らめているイケメンにちょっと萌える」お粗末エラーの競演＞*4　*5、
＜右に左にヒットが飛んできて、明らかに走るのがイヤになっているレフトの松中＞　*6、
＜バッピ状態のニャル瀬を代えるに代えられずおろおろする梨田監督と、横で苦虫の代わりにガムを噛み潰しているバレンタイン監督＞*7　*8　*9
などなどのおまけまで付けてのゴージャスなお返し。この際、選ばれた選手の最高のプレーはどこへ？などという堅い疑問は忘れましょう。それなりに今年も楽しめたのでありますから。
にしても…。
オールスターにどうも、妙な＜空気読みプレー＞が蔓延してきておるのであります。　たとえば今年の、＜ピッチャーは全球ストレート勝負の空気＞、とか。
まあ確かに、エース級が本気で組み立てて投げるとなかなか打てないので、試合が地味になりがち。でも、だからといって、出てくる投手出てくる投手誰もが全球ストレートってのも、少々シンプル過ぎというもので…。それにまた、ニャー君のように滅多打ちされても投手のイニング受け持ちが決まってるから代えないとか、なーんか決め事やらお約束やら暗黙の了解やらが硬―くなってる気もするし。
さらに今年は、オリンピック間近のおかげで、慣れないポジションに選手を配置してみたり、ほとんど五輪試技会状態。テレビでは五輪代表以外の選手は刺身のツマ。
そんな中、我関せずにおいしいとこ取りしていったのが、金本*10・山崎*11両アラフォー選手*12。オヤジーなガハハ笑い、場をわきまえたコメント、そして、遊びムードと勝負の切り替えぶり。いい味出してます。ベテランは素晴らしい。
それから、パでは、代役での初出場で２打席連続ホームランを打った大松尚逸選手！*13
名前は“しょういつ”君と読みます。ただ今大ブレーク中、パ待望の若手大砲です。打率はまだ低いのですが、打点は現在リーグ２位。勝負強いんです。特に満塁には滅法強くて、それで一躍クローズアップされました。すでに３本の満塁ホームランを打っています。*14
他に彼のステキなところは、＜お兄ちゃん力（りょく）＞の高さと、食べっぷりのフォトジェニックさと、見事な福耳。いずれ詳しくご紹介したい選手。注目してあげてくださいね。
で、話し戻って、どことなく存在感が薄くなりつつあるオールスターゲーム。
クライマックスシリーズという緊迫した勝ち抜き試合や、五輪、WBCといった世界の舞台など経験するようになった選手からみれば、ドリームゲームといえど、どうしたってお遊びだし、ベンチサイドでは、後半戦に向けていろいろな思惑がからみいの、しがらみもありいのなんですから、どこかセーブしたムードになるのも時流であって、しょうがないことなのかもしれません…。
でもそんな中でも、選ばれた選手たちが、あんまり<空気＞とか＜お約束＞とかに縛られずに、選ばれた理由である自分たちの得意技をノビノビ披露できる場になっていってほしいなあと思った、今年の＜夢の球宴＞なのでした。

*1:劇場開幕＝登板するとピンチを招くことが多い投手が、案の定…という形でピンチを招くこと。炎上＝投手が相手打線に火をつけてしまい、手がつけられないほど打ち込まれること。

*2:ニャル瀬＝マリーンズ・成瀬投手。去年は最優秀防御率＆勝率の二冠をｹﾞｯﾄしたが、今年はゼッ不調。ダルや涌井にからかわれる出っ腹が一段とサイズ増し。今年寮を出てひとり暮らしを始め、その食生活のせいらしい？？

*3:フルボッコ＝完全（ﾌﾙ）にボッコボコに打ち込まれること

*4:ヤス＝ライオンズ・片岡易之選手。二塁手。目下段トツで盗塁王。

*5:マリーンズ・西岡剛選手。本職はショート。ジャパンに行くとムネリン（ﾎｰｸｽ・川崎選手・ｼｮｰﾄ）とのコンビで二塁に回ることが多い。

*6:ホークス・松中外野手。決して守備が下手というわけではないけど上手くもないという、主軸打者らしい外野手。

*7:バッピ＝バッティングピッチャーの略。

*8:梨田監督＝ファイターズの監督。去年優勝したヒルマン監督に代わり、オールスターの総監督。

*9:バレンタイン監督＝成瀬と同じ、マリーンズの監督。去年２位でオールスターのコーチ。元NYメッツ監督。いかにもアメリカ人っぽく試合中はつねに親会社のガムをくちゃくちゃしてます。

*10:タイガース・外野手､４０歳。連続出場イニング世界記録更新中の鉄人。

*11:イーグルス・外野手､３９歳。去年、最年長記録史上２位の３８歳で本塁打王。

*12:http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/abc/newword/080415_46th/

*13:マリーンズ・外野手。

*14:＜大松＞＜満塁＞で検索すると記事が山ほどありますヨ！http://news.livedoor.com/article/detail/3749997/、http://www.nikkansports.com/baseball/news/f-bb-tp0-20080729-389414.html、http://www.daily.co.jp/baseball/2008/07/17/0001239381.shtml