二つのさ・よ・な・ら… ―王さんと清原の引退―

ウチスタ(部屋観戦でドキドキする)

さて、都会に迷い込んだトンボのことを書きましたが、“とんぼ”といえば、バファローズ・清原選手。

10月1日、引退する彼のラストゲームはこの歌で盛り上がりました*1
そして7日、ホークス・王監督ラストゲームの指揮をとりました。
二人とも、惜しまれて惜しまれて去っていきました。
清原選手については、いつの頃からかヒールのイメージを持つ人が多くなったり、王さんについては、その采配や手腕が疑問視されたりもします。
でも、やっぱり二人は圧倒的に愛されていました。なにより、最後まで仲間の選手たちから慕われ、憧れられていました。
王さんのホークスは、パ・リーグ終戦イーグルスと名勝負の末*2に敗れ、最下位が決定しました。
王さんを胴上げしたいという思いばかりが強すぎて、自分のことよりも監督のことばかりが気になって、どうしても空回りしてしまう選手たち。そんな選手たちの姿を何年も見続けて、彼らのために身を引くことを決めた王さん。
男同士の想いは純情すぎて、悲恋の名画のように切ない。最下位というエンディングは、むしろ見事なカタルシスだったように思えるのです。
そして、不遇な状況での引退の瀬戸際から、バファローズに移って*3誰より華やかな最後の舞台に上がることができた清原。
彼に花道を用意して亡くなった天国の仰木監督や、温かく迎えたファンやチームメイトの期待に、どんなに応えたかったことでしょうか。ケガでとうとう願いが叶わなかった彼のラストシーンもまた、その哀切さが美しいのでした。
なんだか、彼の引退式を見ていたら、『ペール・ギュント*4を思い出しました。
…いや、正確に言えば、思い出したのは、奔放で破天荒なペールを一途に待ち続けた許婚のソルベーグ
ラストゲームまでの彼を温かく見守ったパ・リーグのファンや選手たちが、まるで、老いて失意で帰ったペールに、膝枕で子守唄を聞かせたソルベーグのように辛抱強くて優しい…。なんだかふと、そんな風に思ったのでした。

「ソルベーグの歌」*5

*1:知らない方のために説明しますと、清原選手が長淵剛が歌う「とんぼ」という曲が好きで登場曲にしていたのですが、引退式で長淵本人が登場して生で歌いました。延々引張りまくる長淵氏。多くの清原ファンの感想はたぶん、「歌長すぎ…」…(^^;)。

*2:敗れた方が最下位という試合でしたが、両チームの先発投手(ホークス・杉内、イーグルス・田中マー君)を始め投手陣が好投し、延長11回まで0vs0。12回、ホークスの絶対守護神・馬原(11回リリーフでピンチを凌いで2イニング目)を、イーグルスのベテラン4番山崎が打ってサヨナラゲームとなりました。今シーズン5本の指に入れてもよいくらいの好ゲームでした。

*3:ライオンズで10年以上過ごし、FAで憧れだったセのジャイアンツに移りましたが、ケガが重なったこともあって不本意な成績が続き、上層部から冷遇されて、最後はシーズン途中で戦力外通告。その頃の彼は確かに荒んだ険しい顔つきばかりでした。そんな彼を、バファローズの顧問をしていた故・仰木元監督が誘い、バファローズ入団となりました。

*4:イプセンの戯曲。あらすじを一番わかりやすく紹介してくださっていると思うHP→http://homepage3.nifty.com/classic-air/database/grieg/peergynt_f.html

*5:堀内敬三訳詩が有名ですが、意味が一番わかりやすい対訳を紹介してくださっていると思ったHP→http://quesera.blog.ocn.ne.jp/daily_essay/2005/07/musical_baton_38be.html  本田美奈子さんも日本語で歌っているようです。→http://www.ongen.net/search_detail_track/track_id/tr0000123127/