シルク (2007/加・仏・伊・英・日)

シルク スペシャル・エディション [DVD]

シルク スペシャル・エディション [DVD]

上映時間109分、しかし体感時間としては200分ぐらいあったぞ!
(というか、あまりのタルさに途中で舟をこぐこと数回。飛んだところを戻して観てたら結局そのぐらいかかったかもしれないという事実)

<ものがたり>
舞台は19世紀のフランス。戦争休暇で実家に戻ってきたエルヴェ(マイケル・ピット)は、知り合いの男バルダビュー(アルフレッド・モリナ)から、養蚕で財を成そうと持ちかけられる。未開の地まで活きのいい蚕の卵を買い付けに行かねばならず、初恋の相手エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)と結婚し、単身アフリカへ向かうエルヴェ。しかし蚕は伝染病にかかっていたため、極上の卵を求め、今度はまさに世界の果てともいえる日本へと行くこととなる。極東の寒村で出会ったのは、妖しくも美しい一人の女性。言葉も通じず、名前も知らないその女性に心を奪われたエルヴェは、愛する妻を裏切ったことに良心の呵責を覚えながらも、次の旅を待ち焦がれるのであった…。

もうねー、なんたってこの主人公がどうにも覇気がないんだよこれが!!!!!

冒頭からこんな感じ。
バルダビュー(以下バル) 「買い付け行ってくんない?」
エルヴェ(以下主人公) 「えー、でも軍隊戻んなきゃ」
<ちょっと経過>
バル 「お父さんに言ったらいいって言ってたよ〜」
主人公 「あ、そう? じゃいいよ」

19世紀に海外旅行、ましてやアフリカやアジアなんてそりゃー大事だったはずで、普通ならそれが物語のキモになったりするところなのに、この主人公、サバンナに行こうが東北で雪山超えしようが全然大変そうじゃないの! もちろん言葉も通じないどころか、自分が何処にいるのかさえわかってないくせに全くびびってない呑気野郎にしか見えなくて呆然。バルは「キミじゃなきゃ出来ない!」なんて言って送り出すんだけど、何をもってそれだけ信頼してるのか意味不明。

アフリカから持ってきた卵のおかげで、小さかった製糸工場がどんどん大規模に。日本から帰ったらもっと工場が増えてて、更に利益拡大。町中の人も大喜び!ってサクセスストーリー(?)なのに、その立役者がこのぼやぼやしたにーちゃん、ということに全く合点がいかないんだよねえ…。全然命がけの旅に見えないし。

そして問題は日本上陸。『ラスト・サムライ』ふたたび!<って観てないけど(笑)
地理的に全くどこだかわかんない山奥の小村。主人公は目隠しされて連れてこられるんだけど、多分見てても絶対覚えてないと思うぞ。そこで謎の有力者、原十兵衛(役所広司)と出会う。 國村隼(今回一番の出損<でぞん)にだまされて魚の卵(キャビアみたいなんすけど)を売りつけられた主人公だったが、こっちはこっちで偽の貨幣で支払っていたというオチ。わざわざフランスから日本まで来てそれで済んでいいのか???  ちなみに役所は英語ペラペラの設定。なんでかわかんないけど、観てるこっちとしては「あー、役所広司だから喋れるのねふーん」てな感じですんなり受け入れちゃうぐらいトホホなシーン。というのも、そこで現れた運命の女(ナイトレイに胸をほめられた芦名星)。着物はちゃんと着てるのに、そらぞらしいほどの後れ毛(これ、外国人の妄想だよなあ…)で、客の前なのに無言でいきなり役所に膝枕!えーと、大丈夫ですかこの人たちはっ!!

エスニック女に免疫がない主人公は、長旅から帰っても気もそぞろ。気が付いたらいつのまにか金持ちになってたんで、ヨメに家と庭をプレゼント。

待ちに待った次の日本行き。今度はかなり年配のおばさま方に手取り足取りで入浴させられる主人公。どこの風習だこりゃ。清潔になり、呼ばれて行った離れには件の女ともう一人の女が。なぜだかもう一人の女と無言で布団イン。しかし部屋が暗い上にこの2人が体型とか似てたりするんで、もう一度見直さないとどっちだかわからないのは私だけなのか?

ことが終わって露天風呂に行くと、件の女が入浴中。盗み見、というかしっかりガン見している主人公に気づくと、こっちを見据えながら湯中に潜る女!! 地獄の黙示録』のウィラードかお前は!!!!!

そしてまた苦も無く帰国。さらにまた行かなくてもいい日本行きを敢行する主人公。政情不安で行くだけ無駄だというのをごり押ししたのに、女とは会えず。結果、損をして工場は閉鎖に。<これがまた唐突なんで、一体どういう経営をしてるんだか不明  町民一同職を失うことになった時の主人公の一言がスゴイ。

「じゃあ皆に妻の庭を造ってもらおう!それで仕事が出来る!」

おまえのせいで無職なんだよ!ていうか、自分達だけがそんな儲けてんの??? 反乱が起きないとことか、さすがファンタジーだと思いました。いや、そう思わないとやってらんないというか。

しかしこの映画というか主人公、あまりにもやってることがパターン化されていたのが一番の睡魔の原因だったかと。なんたって

妻との涙の別れ → 旅 → 現地の人との交流(役所としかしゃべれないから範囲が狭い) → 帰宅 → 子作り → 妻との涙の別れ → 旅 → 現地の人との交流(役所としかしゃべれないから範囲が狭い) → 帰宅 → 子作り → 以下同パターンで連続

なのでした。しかも旅路のシーンなんて、風景も同じなら客車も同じにしか見えなくて、使いまわしかと思ったよ…。

これ以外にも娼館のマダムが中谷美紀(これまた出損。化粧がケバいので誰でもいいと思う…)だったり、公開しばり首の村だったり、実はナイトレイもストーカーだったりといろいろあるんだけど、とりあえず「あーやっと終わって助かった」という一言で全てが片付いてしまいました。脱力〜。