12月5日(金)不穏で不吉の巻

雨をためこんだ灰色の雲が重く重く垂れ下がり、生暖かい風が強く強く吹いていて、なんだか不穏で不吉だ。わたしは好きだな、こういう天候。
8月から9月にかけてのメガ・ノヴェル連続刊行に翻弄されて、読み損ねていた国内外の小説を書き仕事と新刊チェックの合間にフォローする日々。そんな中で読んだ栗田有起の短篇集『蟋蟀』(筑摩書房)に入っていた「猫語教室」に爆笑。夫の栄転先についていった初々しい妻が、夫の優秀な部下の奥様連中が開催しているサークルに参加する話なんだけど、とても品のいい諧謔精神とユーモア精神がほどよく溶け合わさっていて見事なんである。こういう適時紹介できなかった秀作も、これから何らかの形でレビューしていきたい。
ところで。今、そんな読み逃していたうちの1冊、柴崎友香の『星のしるし』(文藝春秋)を読んでる最中なんだけど、これって「文學界」6月号に掲載された作品なのに、なんで前回の芥川賞候補スルーされちゃったの? かなり面白い小説なのにねー。
昨日はTBSラジオ「ストリーム」の収録をしてきたり、大森望氏と「週刊朝日」で2008年ベストテン小説を決めてきたり。



わたしは基本的にかなり上機嫌な人間ですが、相談もなしに勝手に原稿の内容や文章をいじられたりするとものすごく怖い人間になります。わたしの文章や書いている内容が不適切な場合は、必ず相談してください。
直す必要があれば、ちゃんと直します、自分で。
以上、業務連絡でした。