「リボルバー」(2005/英)

<ものがたり>
7年間のお務めを終えて出所したジェイク・グリーン(ジェイソン・ステイサム)は、自分を嵌めた元雇い主であるマカ(レイ・リオッタ)のカジノに赴き、大勝をする。実はジェイクはム所暮らしの間、独房の謎の両隣から「究極の勝利の方程式」を密かに伝授されていたのだ。怒り心頭でジェイクに殺し屋を差し向けるマカ。すんでのところで難を逃れたジェイクだったが、その先に怪しい二人組が待ち受けていたことには気付かなかった…。

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で世界中にその名を轟かせたガイ・リッチー監督作品。ブラピ主演の次作『スナッチ』はそこそこにヒットしたものの、マドンナと結婚して作ったヨメ礼賛(?)映画『スウェプト・アウェイ』はラジー賞総なめ。
<もちろん観た(笑)。マドンナにしても気が狂ってたとしか思えないほど壊滅的にヒドイ映画
本来のクール・スタイリッシュ・アクション路線に戻った今作は…なんとプロデューサーがリュック・ベッソン!というところですでにヤバさ爆発。結果、
意識の流れ、自己の確認、といったスピリチュアル感覚<ヨメ
おしゃれなカット割りに軽〜い銃撃戦でキャラはエスニック!<ベッソン
という、最悪のコラボレーションに(多分)影響されて出来たのがこのスットコサスペンスである。

冒頭からまず居心地が悪い。ステイサムが長髪。もともとハゲを見慣れている人に頭髪があるとなぜこんなに困惑するのだろう。気まずい。そして気が付いたらリオッタさん(以下さん付け)が江守徹に激似になっていた。そんなリオッタさんは劇中登場シーンの内、3/4がブリーフ一丁、もしくはマッパ。日焼けしてなくて尻だけ白く浮き上がったオールヌードにまた困惑。(それにマカって名前どうなんだろう…精力剤?)

ストーリーに戻ると、カジノで勝ち逃げした主人公は帰り際に原因不明の失神。その足で病院に行き(渡世人とは思えないこのスピーディな受診)、結果に異常なし。自宅のドア前で「拾え」と書いてあるメモを拾いにしゃがんだ途端、用心棒全員が蜂の巣に。そこに助けに来たメタボなオヤジに連れて行かれた先で、怪しげな黒人に取引を迫られる。

「お前は奇病で余命3日しか無い。マカも殺し屋を差し向けている。守って欲しければ全財産を出せ。そして質問されたことには文句言わずに全て答えろ」

普通の人なら

「え、何で診断書持ってんの? てか治る方法教えてくれるとかそういうんじゃなくて、ただ殺し屋から守るだけ?? でも3日経ったら俺死ぬわけでしょ???」

という疑問を持つところだが、なぜか主人公は条件丸呑み。おまけに承諾した途端にこき使われまくり。残りわずかの命だってえのに、金は取られるわ力仕事はやらされるわで、お前はマゾか? 一方リオッタさんといえば、会ったことも無いけど自分よりすごくエラい大ボス(なんかすごく稚拙な表現だけど、劇中の表現がとにかくそんな感じ)にビビリまくり。そんなリオッタさんからヤクと金を根こそぎぶんどる主人公(が仕えてる)一味。わかりやすいほど怪しげな中華系チンピラが出たり、無意味にレズ臭プンプンな大ボスの手下のおばちゃんとか、ベッソン世界観だだもれだな〜と思っていたら、画面が唐突にアニメ化! カリカチュアされたキャラや銃器で、楽しんでるのは作り手だけ!もう白けることこの上なし。

更にひどいことに、主人公は常に”自己と向き合って”おり、普通のセリフと脳内セリフが交互に出てきてこれまたウザい!!大したこと言ってないのにそれが2倍というこの辛さ。こんなんで上映時間が2時間になったんじゃないだろうか。それ全部切って1時間にしたらまだ観れたかも。
そんな自問自答愛がなぜかリオッタさんにも伝染!!ここで観客は口閉じてブツブツ言ってる登場人物を2人もガマンしなきゃいけなくなって苦痛も2倍!

クライマックス近くで謎の黒人&メタボの正体がわかるんだけど、途中でバレバレなんで「はーそうですか、やっぱしね」てな感じでちっともカタルシス無し。(それにかなり強引な設定だと思う)
ラストは主人公とリオッタさんの一騎打ち!でもこれまたどうでもいいことをダラダラ喋ってるばっかりで、いいかげん飽きてくる。たったの数分なのに!

そんなわけでこの映画の唯一いいところを挙げるとすると、”エンドクレジットが無い”ことでした。
同じ主演、そして似たような”寿命タイムリミット”映画『アドレナリン』が個人的に傑作だっただけに、この不出来さは…。
<ていうかこの映画に”余命”エピソードが必要だったのか甚だ疑問