アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン(’09/仏)

<ものがたり>
元刑事のクライン(ジョシュ・ハートネット)は、連続猟奇殺人事件の精神的後遺症により、今は私立探偵になっていた。ある日大企業の社長より、海外で行方不明となった息子(キムタク 役名:シタオを探す依頼を受け、最後に確認できたミンダナオ島に向かうが、現地で殺されたと噂を聞く。しかし死んだはずの彼がいるとの情報を得て香港に来たクラインが知った事実とは…。

監督・脚本 : トラン・アン・ユン(ノルウェイの森

冒頭、拳銃を構えて忍び込んだジョシュを難なく金属バットで殴り倒す犯人。どうやらこの気弱そうなオッサン、フランシス・ベーコンの立体オブジェを本物の死体で作るのが趣味。手術用のメスを手に、苦痛がなんたらかんたらと言い出すので、もしやいきなり拷問シーンか?と気構えたのも一瞬、そのメスでジョシュのワイシャツを背中から切り裂くオッサン。いや、もうヘロヘロですし、普通にボタン外せばいいんでは? 実はこれがジョシュの胸板披露シリーズの始まりだった!何やらアヤシイ感じで背後から組み敷いたオッサンがジョシュの肩に噛み付いた!で、それから!?とドキドキした(ウソ)途端、ヒゲを蓄えたジョシュがオシャレなリビングで電話。画面には「あれから2年後」の文字が。全然無事じゃん!!<その後、肩の噛み傷さえ残ってないことを確認  とまあ最初からスットコ度濃厚。

変な菌に感染したくない(ちなみにその設定は物語に全く関係が無い)から息子にも10年以上会ってないという大富豪の命を受け一路ミンダナオ島へ。現地ストリップバーに入り、ステージを背にして座るジョシュ。しかしあっさり店を後にする…ここで待ち合わせとかそんなんじゃないのか!何しに行ったんだお前は! 現地の探偵が撮影したキムタクの写真は全部カメラ目線。しかもアイドル系のジャニーズ仕様(多分)。そして東洋は暑いので、上半身裸のジョシュが見放題

香港に着いたジョシュは、知り合いの刑事(ショーン・ユー)に会いに警察へ行くと、偶然にもシタオの姿(まっ黄色のレインジャケット、しかも背中にはデカイXマーク付き)を発見!でも他人の空似と思ってあっさりスルーホームレスのキムタクは、身体中生傷だらけで事情聴取に連れて来られたらしい。実はキムタクは「人の傷やら病気を自分に移して治すヒーラー」だった!血まみれの子供を羽交い絞めにして自らも血を吐き、のけぞりながら白目を剥くキムタクに爆笑したのは言うまでも無い。

尻尾をつかませない新興ヤクザ(イ・ビョンホン)にムカつくショーン・ユーは、ジョシュをホテルに送る途中、「あいつんち、この辺なんだ。ちょっとヤキ入れてやろうぜ」と道路を逆走中、ヤク中の彼女を人質にしてビョンホン家から逃げたチンピラ(中井喜一似)と接触事故。ビョンホン一味から逃げ切ったもののチンピラは死に、たどり着いた空き地に住んでいたキムタクが彼女を連れて行き、薬抜きを敢行。

五つ星ホテルの高層階の窓ガラスの前に半裸で佇むジョシュ(以降こういうシーンがデジャヴのように頻出)。朝起きて電話に出ればパンツ一丁。いい加減、「この映画は一体誰のために撮っているのか?」と勘ぐり始める観客(注:自分)。

指紋の照合により、事情聴取に来た傷だらけの男がシタオだと確定。<警察では写真を膨大に撮っていたのに、担当者が「傷だけでいいから」と言って顔写真を撮らなかったらしい  本格的に捜索を始めるべくジョシュはアパートを探す(高級ホテルは経費で落とせるはずでは)。新居が決まって酒をかけあい、じゃれあうジョシュとショーン・ユー。ここでショーンも胸板要員であったことが発覚!当然ビョンホンは既に胸板を無意味に披露。しかし監督はキムタクのショボイ胸板がお気に召さなかったらしく一回っきり。立派な胸板をさらしたショーンはその後唐突に濡れ場へ(注:女と)。そして何の脈絡も無く、ジョシュも風俗へ。「たまには女の裸も出しとかにゃまずいけんね」というような政治的な意図を感じたのは私だけなのか。

PCとプリンターを購入し、シタオの身体傷写真で部屋に等身大ポスターを作ったジョシュは、かつての殺人事件のトラウマに頻繁に悩まされていた。それに続いて汗まみれの胸板やシャワーシーンがお約束。ジョシュと二人でドライブ中にビョンホンを見つけたショーンはまたまた逆走で併走!ここだけ『頭文字D』か?このためのショーン・ユーなのか??

薬抜きに成功したシタオ。実はシタオにはもう一つ重大な秘密があった!なんと彼はミンダナオ島で撃たれた時に死んだのだが、自ら治癒能力を発揮して、土の中から生還したのだった!
しかも頭と顔には蛆虫をたからせ、身体にはデッカいダンゴ虫をはわせた状態で!! 
この瞬間、生まれて初めてキムタクのことをちょっとだけ見直した!!!
その後光速で忘れたけど。

どっかのビルの屋上から双眼鏡で、通行人の中からキムタクを探す、というどう考えても効率の悪すぎる方法で捜索を続けるジョシュ。でも見つけた!と思ったらあっさりまかれたりして、大富豪は探偵の人選を間違ってると強く思う。当然ジョシュの半裸シーンは抜かりなく交えつつ、こんな状態が延々と続き、眠気絶好調でやっとクライマックスに到達。

ヤク中女を治して帰宅させた後、キムタクは又、貧乏人相手に同化治療(?)を行っていた。瀕死のキムタクにゾンビのように迫る病人の皆さまを蹴散らしたのは件の女だった。怒ったビョンホンは当然お礼参りに。ボコボコにするビョンホンに聖書の言葉(のようなもの)を発し、さらに板切れに磔にさせられても「あなたを許します」というキムタク。…いつのまにかキムタクが神になってますが!!!

ラスト、十字架を見ると金色に塗らないと気がすまないヘンな人(サム・リー)に見つかってしまい、ジョシュに助けられた時は金まみれになっていたキムタクでした。<でも生きてたけど