『エンドレス・ラブ』('81/米) 後編

さて無責任なトム(役名無いんだけど)の助言とは!?
掟破りの前編からの続き : 

放火すれば?俺、8才の時に自分で家に火つけて消したらさー、マジ表彰されたんだぜ!親からも超ほめられたしー(笑)」

(注:これでトムの出番終り)
すでに普通でない心境のデビッドは、なんと8つのガキと同じ作戦に!自作自演で火事からジェイド一家を救い出し、感謝されて2人は晴れて結婚一直線!てな展望で古新聞に火を放つが、風向きが悪くて家全焼。

作戦を白状したデビッドは、当然のことながら裁判沙汰。本来なら禁固刑20年のところ、保護観察付きで5年間精神病院に入院という判決に。さて問題なのが、この時点でちょうど1時間ほど経過。しかし後50分ほどあったはず…どうするのか残り!

というわけで、ここからは純愛映画”路線から突然逸脱”し、ジェイドの出番は一切無しで、精神病院で患者に囲まれて精神を病んでいくデビッドが暗〜く描かれます。で、いい加減観客がどうでもよくなってくると、入院した時よりもおかしくなっているはずのデビッドが)(2年で退院オッケーの許しが!家に帰ると両親は離婚しており家庭は崩壊。当然のことながらジェイド一家はNYへ引っ越したと聞かされ、保護観察中でなおかつ一家とは接触禁止令が出ているはずのデビッドは一路NYへ。以前から何も考えてなかったが、更にターボ全開。

どうやってか、ジェイド母の居場所を知ったデビッド。訪ねたところ、そんなには嫌がられなかったので一安心して話を聞くと、ジェイド一家も崩壊していたことを知る。父親は「もっと素直で可愛い奥さん」をもらい、ジェイドは遠くの学校にいるという。飲んだ勢いなのか、そこでいきなりデビッドに迫り来るジェイド母!「実は夜這いに来てた時から好きだったのよ〜ん」と驚愕の告白!!熟女専では無かったデビッドはなんとかその場から逃げる前、まるで土曜ワイドの手がかりのようにデカい「アドレス帳」と書いてあるノートを発見。

無事ジェイドの住所をゲットし、翌日バスの時間までワクワク気分でNYの街を満喫。しかしなんという運命の歯車!すぐ近くにジェイド父と後妻がラブラブで闊歩していたのだった。人でごった返す交差点をはさみ、憎い宿敵を発見した父は、嫁を振り切り信号を無視してデビッドに突進!

そこに当然のことながら車が!
キキーッ!!ドーーーーーン!!!

ひかれたジェイド父はその場で即死。事情を知らない後妻から助けを求められるが逃げるデビッド。後からジェイド母の家に行くと、そこには家を焼かれた恨みを当然忘れてない鬼のような形相の兄が!剣幕に押されて引き上げたデビッドは、ロビーでジェイドとすれ違う。

ホテルでまたもや煩悩の塊と化していたデビッドのところに訪ねてきたジェイド!「もう愛してない!」「嘘だ!」とお決まりのやりとりをしたところで、結局はまたナチュラルに朝を迎える2人。「結婚したらどこに住もうかしら〜」なんて呑気なジェイドを迎えにやってきた兄と継母。

怒れる兄の一押しもあり、「彼はこの人に向かって行ったわ!この人が彼を殺したのよ!」という継母の叫びに呆然とするジェイド。「僕のせいじゃない」というデビッドに、父を殺した彼を許せないジェイド!!<ていうか、家を焼け出された時点で思わないのか?

ホテルで暴れたからなのか、保護観察中に逃亡した罪なのか(多分こっち)、今度こそム所に入ったデビッド。「私は彼を愛しているのかしら〜」なんてどうでもいいことを語りかけた母親から、「あなたならなんでも出来るわ!あなたには将来があるのよ!」なんて根拠不明な励ましを受けたジェイドは、自らの意思の赴くまま、服役中のデビッドの元に向かうのであった…。

観客が、こんなナチュラル・ボーン・バカップルの話だったのか!と正気を取り戻す前に、畳み掛けるように流れるダイアナ・ロスライオネル・リッチーによる愛の名曲『エンドレス・ラブ』。これで「なんかとてもいい映画だった」と勘違いする人が続出するのは、後のスットコ映画『ボディガード』におけるホイットニー・ヒューストンの"I Wil Always Love You"と同じ効果である。
ちなみにこの映画は上映後にTV放映で観たはずだが、放火以外のことはちっとも覚えていなかった。しかし当時、どっかの誤植で『エンドレレ・ラブ』と書いてあったことはいまだに忘れられない。w