第1回 亀戸 「珈琲道場 侍」

 ゆっくり読書をする時間があったら、皆さんはどんな場所で本を読みたいだろうか―?
 お気に入りの読書空間をごく身内にざっとアンケートしてみたところ、男女問わず「コーヒーショップ」や「カフェ」という意見が大多数であり、「自宅の落ち着ける場所」という回答を上回っていた。帰るとついネットやテレビを見てしまう。家族がいたり部屋が散らかっていたりで落ち着かない、というのが主な理由のようだ。「ファミリーレストラン」や「いきつけの飲み屋」、「リゾートホテルのビーチ」というこだわり派も目立ったが、「電車内で」という声は意外にも少なかった。今や短距離の移動なら、メールをするか携帯をいじっている人が圧倒的なようだ。本が売れないと嘆かれる昨今、「メールのついでにケータイ小説でもいかが?」という発想は、今さらながらスバラシイと思う。
 リゾートホテルのビーチにはそうそう行かれないが、都内にも、快適な読書空間を提供してくれるカフェや喫茶店はたくさんある。そういう場所を探して好きな本をゆっくり読むのが好きだ。できれば読まなければならない本ではなく、読みたい本を持って―。
 というわけで、毎回とっておきの、読書ができるカフェをご紹介していきたいと思います。
 記念すべき第一回目は、亀戸駅前の喫茶店、「珈琲道場 侍」。
 今時のカフェのように喫煙されるおじさまたちが肩身を狭くすることのない、気軽に入れる大人な喫茶店だ。
 甲冑が出迎えてくれる店内は、古民家風の懐かしいぬくもりである。奥に足を踏み入れて驚くのは、カウンターにずらりとならんだロッキングチェア。カウンターはあいにくの満席だったが、席があき次第、案内して下さった。一人で読書を楽しまれるチェア目当てのお客様が多いらしく、カウンターから埋まっていくそうだ。
 待望のチェアに腰を落とし、背もたれに思いきり体をあずけてみる。
 うーん、しあわせ。ずっと揺れていたいが、あまりにギコギコするのも大人気ないので、タイミングを見はからってゆら〜りゆらり。幼い頃、木馬に乗せてもらった時の嬉しさがこみあげてきた。
 コーヒーは丁寧に抽出された一杯どり。時間をかけてじっくり落とした水出しコーヒーも楽しめるそうだ。客が心地よくなれる空間と、おいしい珈琲をとことん極めた珈琲道場。落ち着いて本を読むには最適の場所ではないだろうか。さて、ここではどんな本を開こうかな。

(*長居の場合はコーヒーのおかわりを)


電話: 03-3638-4003
住所: 東京都江東区亀戸6-57-22 渡辺ビル657
アクセス:JR総武線亀戸駅東口駅前
営業時間 8:00〜25:00
定休日:日曜日(年末年始・夏季休業等の期間についてはお問い合わせください)
http://www.samurai-cafe.jp/html/