『爆走!! 妊婦日記』

爆走!!妊婦日記

爆走!!妊婦日記

先日本棚の整理をしていたら、ひょっこり出てきたこの本。懐かしい〜。実は妊娠がわかってはじめて読んだ妊娠関連書なのです。

本書は妊娠・出産・育児関連の大手サイト「ベビカム」に連載されていた妊娠日記を本にまとめたもの。話は著者が大学生のときにさかのぼる。出産を終えた姉に“会陰切開”をしたのかとこわごわ尋ねてみると、切ったどころか肛門まで裂けたという話を聞いて、衝撃を受ける(そりゃそうだ)。そして、それが著者のお産についての考え方を決定付けることになる。

その10年あまり後、著者が妊娠。産院を決める際に重視したのは「会陰切開しないところ」! 調べるうちにバースプランを妊婦自身が選べることを知り、あれこれ勉強して、結果的には納得のいく助産院で産むことを決める。

わたしがこれを読んだのは、まだ妊娠3ヶ月目くらいのころ。ただあまり深く考えずに、実家からもその最寄り駅からもいちばん近いところというだけで産院を決めてしまった。西洋医学にさして抵抗がないので、浣腸も剃毛も受け入れようと思ったのだ(ナマナマしい単語を羅列してすいません)。しかしこれが実際やってみると……ま、これ以上は脱線が過ぎるので別の機会に。

……何の話だったっけか? あ、そうそう。つまり妊婦歴3ヶ月のヒヨッコだったわたしはここに書いてある「バースプラン」とか「助産院」とか全然よくわからず読み進めていたのだけど、いま読んでみると、そういう産み方をちょっとしっかり考えたいという人にはためになるくらい丁寧に産院を選ぶプロセスが書いてある。

そして怒濤の妊婦生活がはじまるのだけど、マスコミ勤務ゆえに妊婦とはいえ不摂生になりがち。助産院は妊娠の経過が順調でないと産ませてくれないので、焦りつつも、わりと旅行に行ったりマタニティヨガを習ってみたりと妊婦生活を満喫する著者。

そしていよいよ出産予定日から待ちに待って、過産期に入る14日目に破水→出産となったのだけど、この出産がとんでもない難産。結局、極力医療行為の介入を避ける自然分娩を目指していたはずが、陣痛促進剤を打ち、吸引分娩、そして会陰切開&裂傷となってしまった。

もちろん著者はそんなことは意に介さない。母子ともに健康であったのだから、結果オーライ。しかし、妊娠中にバイブルとして崇めていた自然分娩を推奨する本を読み返してみると、吸引分娩について「そうして生まれてくるとき、生まれたばかりの赤ちゃんはとても苦しそうにゆがんでいます」「吸引や鉗子で生まれた子は人相が悪い」と書いてあり、とても傷つく。

しかし著者はきっぱりと断言する。〈お母さんにも赤ちゃんにも、出来るだけ自然に近い、いいお産をすることはとても大事だけれど、お産は自然なものであるからこそ、予測がつかないものなのだ、と。プラン通りに運ばないことだってあるのだ、と〉。

ほんとにそのとおり! わたしも先生から太鼓判を押されるほどの超優良妊婦で、骨盤の形を見て「こりゃいいお産になる。楽しみ!」と言われたくらい(笑)だったのに、結果は過産期に入りそうだったので予定帝王切開orz まさか自分が帝王切開するなんて思ってなくて、妊婦雑誌の「帝王切開」の項なんてすっ飛ばしてたから、ほんとに目の前が真っ暗。でもいまは別にわたしも子どももそんなの関係なく元気(とはいえ、この著者が通ってた病院は予定日経過14日まで待っててくれていいなあと羨ましかったり)。

妊娠中は頭では「生き物なんだから思うようにはならない」とはわかってても、自分の身にそういう事態が起こるとはどうしても想像しづらい。それを知るためにも読んだほうがいいかも(ていうか、わたしも妊娠中に読んだはずなのに、すっかり忘れてた)。それから、分娩台の描写がものすごくリアルで、あんな難産だったはずなのに、こんなに克明に覚えているなんてすごい! あとで書くために覚えておかねばーと必死に脳裡に焼き付けてたんでしょうね、さすがマスコミ人(笑)。