GOEMON(’09/日)

今回は趣向を変えまして、ここ数年のワースト映画として誉れ高い『CASSHERN』監督、紀里谷和明の最新作をロードショーにて有志数人と鑑賞。現在も全国絶賛上映中なので、あらすじ等は各メディアをご参照の程。

まずは多分他に誰も言わないと思うが、カントク、絶対『風雲 ストームライダーズ』(’98/香)観てるだろう!!!パクったって誰も気づかないと思ったら大間違いだっっ!!! でも結果的に『風雲』の方が断然面白かったのである。やーいやーい。<?

とりあえず一番言いたいことをまず書いたので(?)スッキリ。以下感想。

いやー、しょっぱなから失笑の嵐。石川五右衛門、人間ですか?飛びすぎだろ!!!ノミのようにびよよ〜んと跳ねながら、どうでもいい台詞を息も切らさず喋る超人っぷり。(ここから始まる、『PROMISE』のチャン・ドンゴンVS牛スタンピードの場面といい勝負の展開は最後まで続くのだった…) もんのすごい高台から盗品(箱根の土産物屋にある組木細工の方がよっぽど難しそうな、簡単すぎるからくり箱含む)を撒くシーンから大泥棒五右衛門の大活躍が…と思ったら義賊シーンはそこだけ!大体五右衛門は忍じゃないだろ!史劇じゃないから別に忍だっていいんだけど、問題はこの後、ひたすら大量殺人マシーンとしての活躍。だったら泥棒の石川五右衛門じゃなくてもいいじゃん!

そんな根本的な疑問を抱えつつ鑑賞に専念しようとするが、この”時代劇なのに台詞まわしが現代”、”セットがちゃちい”、”なんだかやたらとタレント(俳優ではない)が出てくる”というこのパターンは何か思い出させる…と気が付いたら、そうだ!新春スターかくし芸大会だっっ!!!

そして更に殺虫剤のCMを髣髴とさせる、極端すぎる跳躍と墜落の連続。霧隠才蔵との一騎打ちは、動きがムダに早すぎてなんだかわからない!そして何キロ遠くまで行ったのかもさっぱり不明だが、決闘シーン、見渡す限りの大草原だったはずが、投げ飛ばされて突然大木に激突したので目が点。

しかしこんなところで点になっている場合ではなかった。
 
カントクのネオ・ジャポネスク観は、秀吉を演ずる奥田瑛二に常に豪華かいまき(二光通販提供:今なら2着で1着分!みたいな奴)をご用意。制作費が相当かかっているそうだが、これら衣装、及び雑草が生い茂る森の小道や、全く調度品が無くてだだっ広いだけの茶々の部屋とか、安すぎるセットを見る限り使途不明。才蔵家に至っては、木下工務店Presentsの名が廃ると思う。<?

五右衛門は子供の頃から超人らしい。なぜ信長に仕えるようになったのかという回想シーン。家を焼かれ、両親を殺された子供五右衛門は、山賊から救ってくれた信長の後を追う。城まで馬で全力疾走してきた信長に、駆け足で数秒後に追いつく子供五右衛門。やはりチャン・ドンゴン@PROMISE。
<しかし一族皆殺しにされるほどの地位の侍なら、ご時世柄、信長に殺されたんじゃ?だから近くにいたのでは…
このパターンは後に、馬で妻救出に向かう才蔵に駆け足で追いつく五右衛門@現在として再現されるのであった。

そんな卓越した(どころかバイオニック手術でもしてるとしか思えない)身体能力を備えた五右衛門なのに、肝心なところで群集に阻まれて動きが取れないたあどういうことだ!!!いきなりのアナログ牛歩。あの跳躍力はどうした!やっぱり充電が切れたのか???

ここも”見所”として押さえたんであろう、小平太への叱責シーン。「人を殺すな!」って、通っただけで後に死屍累々のお前が言うな!!!!!クライマックスシーンでも「人はみんな幸せにならなきゃいけないんだよ!」みたいなこと叫んでますが、それまでにお前はそのシーン(明らかにSWの劣化パクリ)だけでも何千人殺してるのか思い出してから言えっつーの!見事に説得力皆無。

そして別クライマックス(というかここでやっと終わりかと思ったらまだ上に続くんでびっくりした)では、突然、百万ドルの夜景を見ながらの乾杯。埋立地の豪華マンションのCMかと思ったぞ!しかも愚痴オンパレードで盛り下がった挙句に、本来ならば見せなくちゃいけない大物の征伐シーンを一瞬にして割愛。これに限らず、普通ここからが!ってところでいきなりカットしてる場面がたくさんあって謎だったんだけど、クレジットで「編集:紀里谷和明とあったので納得。

まあなんちゅうか最初から最後まで、ツッコミでもしないことには、どうにもこうにも辛い作品だった…(体感時間4時間強)。幸薄い人ナンバーワンで藤澤恵麻が一瞬(まさに一瞬)出たのに気が付かなかったり、鶴田真由が「お母さん、おかゆだよ」のためだけに出てきたりとか、チェ・ホンマンの役は本来は中村獅童の役どころだよな〜とか、役者関係については小ネタとしていろいろ無いでもないが、登場人物としてやっぱり一番びっくりしたのは秀吉の生命力であった。普通死んでるよあそこで!!!!!(笑)

というわけで、終映後、掘っ立て小屋の広末の行く末を案じていた同行者の方々を尻目に、私一人「最後のあのシーン、絶対『宇宙の騎士テッカマン』だよな〜。だってあれテックランサーだし。」と、またもやカントクがタツノコに手を出すのでは!と勝手に危惧していたということは内緒。<?