第2回 神保町「きっさこ」/「andonando」(アンドナンド)


 本の街神保町には、昔ながらのスタイルを保っている良き喫茶店がたくさんある。「さぼうる」、「神田伯剌西爾」、「珈琲舎 蔵」。古本屋を巡って手に入れたばかりの本をすぐ読みたい。そんな欲求をかなえてくれる喫茶店は神保町には欠かせない存在だ。
 数ある名店のなかで、今回ぜひともご紹介したいのは「きっさこ」。禅語で「お茶でも召し上がれ」という意味だそうだ。知る人ぞ知る、伝説の喫茶店「茶房李白」のあとにオープンした、珈琲とJAZZの店である。 昭和32年に建てられた古民家をそのまま利用した店内は、年月を経ていい色になった木と土壁が、ほっこり落ち着く風合いを出している。艶のいいテーブルに白いカップがよく映える。アンティーク調のシェードから漏れる灯りが、格子やすだれを通してやわらかい陰影を落としていた。照明の数が多いためか、手元はむしろ明るいくらい。読書にはぴったりである。
 ご主人こだわりのジャズコレクションは約1500枚。大音量で流したいところをぐっと押さえ、客がほっとできる空間をつくるためのBGMとして流すのだそうだ。 珈琲と読書をゆっくり楽しんで欲しいという店主の石毛さん。ご主人の優しさが沁みる素晴らしい空間だ。裏通りにひっそりと佇む、神保町らしい名店である。

  
   

きっさこ
住所: 東京都千代田区神田神保町2ー24
T E L:03−3239−6969
営業時間:8:00〜21:00(日曜12:00〜18:00)
アクセス :地下鉄神保町駅A4出口を出たら白山通りを水道橋方面に向かって直進。「天麩羅いもや」、「キッチングラン」の間を入ってひとつめの角を右。コカ・コーラの赤い自動販売機正面。

・深煎・中煎 浅煎と分けられたコーヒーは600円から
・自家製ケーキ300円。ビールもある。
・2階席は3名から予約・貸し切りも可能。ちょっとした会合にどうぞ(テーブルは3席、お座敷は6名くらいまで)
・HPは現在製作中とのこと


 一方、気軽に入れる駅周辺のセルフ系コーヒーショップはありがたい存在である。神保町に2007年11月にオープンしたばかりのandonando(アンドナンド)は「大人のミスタードーナッツ」がコンセプト。渋谷公園通りに続き、神保町は第二号店だ。こちらはうってかわってカラフルなドーナッツが目にも鮮やかな明る〜いお店。店内はとにかく広い。入り口に立つと売り場のカウンターがはるか遠くに見える。他のチェーン系コーヒーショップと比較しても格段の開放感である。それでも帰宅時間帯の混雑時には入り口近くまで行列ができるほどだという。「リゾートハウスのようなくつろぎの空間」をうたっているだけに、座席ひとつひとつの間隔がゆったり取られているので、落ち着いて本を読むにはうってつけ。思い思いの時間を楽しむお一人様での来店が目立つ。壁に向かった7席のカウンターは真剣に勉強する受験生でうまっていた。甘いものが苦手な方も、素通りするにはちょっと惜しいお店である。
 カップにたっぷりのコーヒーは300円。素材にこだわったプレミアムドーナッツとのセットは600円。サンドイッチ、ベーコンチーズパイなどもある。 新宿の「クリスピー・クリームドーナツ」はいまだ二時間待ちだそうだが、あえての神保町出店も功を奏して、しばらくドーナッツ人気は続きそうだ。


andonando(アンドナンド

住 所 :〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-6-1
T E L :03-5282-8930
営業時間 :8:00〜21:00
アクセス: 地下鉄神保町駅A5出口より明大通りに向かい、歩いて2分
http://www.andonand.jp/design/index.html