6月3日(水)ミストに感動の巻

5月31日(土)、6月1日(日)は読書と仕事。
で、ダービーはアドマイヤコマンド(結果7着)から馬連を6点、3連複を8点、総額1万8千円を投入して撃沈。今年に入ってG1をいっこも当てていない。しかし、Aコマンドに乗った川田騎手は反省しる! 直線に入って、迷ったあげく内に入っていき、あげく前の馬に衝突しそうになったのはどういうことか。視野が狭すぎ。コマちゃんはまったく本領が発揮できないまま終わったので、次のレースでもう1回狙うつもり。できれば騎手は替わってほしい。
とはいえ、勝ったディープスカイは強かった。その力を信じて乗った四位騎手は巧かった。2着スマイルジャック小牧太)、3着ブラックシェル武豊)も惜しかった。なので、川田騎手がたとえ完璧に乗ったとしてもいいとこ4着どまり。つまり、いずれにしてもわたしの予想はハズれていたのである。ちぇ。
6月2日(月)はTBSラジオ「ストリーム」の収録へ。今月は前半がジョナサン・キャロルの『薪の結婚』(創元推理文庫)で、後半が岸本佐知子編訳のアンソロジー『変愛小説集』(講談社)。
キャロル作品は前半はハーレクインロマンもかくやの甘〜い不倫小説にもかかわらず、後半はヒロインが××から責められるわクソミソにこきおろされるわで、そりゃあもう意想外の展開を見せるんですの。詳しくは、よかったらこちらで。
http://ascii.jp/elem/000/000/135/135611/

薪の結婚 (創元推理文庫)

薪の結婚 (創元推理文庫)


岸本佐知子のアンソロジーで個人的にもっともウケたのはジュリア・スラヴィンの爆笑ポルノ小説「まる呑み」。7月も終わりに近い午後、芝刈りに来てくれたティーンエイジャーの男の子クリスに欲情した人妻〈私〉が、彼とキスをして、あまりにも強く舌を吸い過ぎたあげく、まるのまま呑みこんでしまうって奇想天外な話なんですけど、〈私〉の体の中に落ち着いたクリスが勃起したペニスを内蔵にこすりつけて「ああ、すっげえイイ」「腹筋、もっと締めて」「すっげえイイんだよ。あんたの大静脈、めっちゃ具合いい!」とか叫んで絶頂に達する場面は、何度読み返しても笑えます。訳者の岸本さんは自分で訳しているニコルソン・ベイカーのことを「ストッパーがないところがすごい」と褒めてますけど、このスラヴィンって作家もまた、なんであります。だって、たとえ人間が人間をまる呑みしたらって発想したとしても「そんなアナコンダみたいなこと無理でしょう」「万が一できても体の中で飼っておけないでしょー」って、並みの人間なら単なる思いつきのままに終わって、物語にまでは発展できないもの。岸本さんじゃないけど、ストッパーのない作家って、ホントすげえや。
あと、自分を捨てたフィアンセが乗っている(はずの)飛行船をどこまでもどこまでも追いかけていく男の話(スコット・スナイダーの「ブルー・ヨーデル」)もかなり好き。この“好き”な感じはレビューに使う言葉では説明できない感情に根ざしているのだと思う。なので、こんなとこには書かない。書けない。
変愛小説集

変愛小説集

6月3日(火)は柳下毅一郎大森望が絶賛していたのでずっと観たいと思っていたフランク・ダラボン監督の『ミスト』観劇のために新宿のグランドオデヲン座へ。
いやいやいやいや、「すごい!」とは聞いてましたけど、ここまで後味の悪いラストだとは……。原作者のスティーヴン・キングが「自分も思いついていたら、こういうラストにしたかった」と絶賛したらしいけど、わたしも大拍手をおくりたいなあ。自分のちんけな想像力をはるかに超えて残酷な結末を目撃した時、大袈裟でもなんでもなく、全身に鳥肌が立ちましたもん。これ、パニック(ホラー)映画史上に残るラストシーンなんじゃないの? 謎の“霧”の正体をめぐるくだりはややチープなクリーチャーものにすぎないからこそ、スーパーマーケットに閉じこめられた人々の群衆心理の描き方と徹底的に救いのないラストのハイパー・リアリズム感が際だつというか。全然毛色が違う話にもかかわらず、この映画から受けた衝撃は、ダン・ローズの傑作小説『ティモレオン』と同質だと思った次第。