12月11日(木)ゲラが嫌いの巻

書き仕事の合間に、単行本のまえがきとゲラのチェック終了。「文藝」で3年間連載した「見上げてみれば…」が、1月20日に『勝てる読書』というタイトルで刊行してもらえるんだけど、わたしはゲラを読むのが嫌いなのである。
こんな仕事をしていると、小説がゲラの段階で送ってもらえることがよくあるんだけど、よほどのことでもなければ読まない。書店に並ぶような形態になって小説ははじめて作品になるという意識もあっての拒否感だけれど、B4サイズの単なる紙の束を読むのが苦痛以外のなにものでもないという生理的な理由のほうが大きい。
いわんや、自分のゲラをや。もともと、わたしは掲載誌を読まないのである。自分の書いたものにはほとんど関心が抱けない質なのである。でも、本にする時は読まないわけにはいかない、しかもゲラで。この二重苦が本当にイヤだ。
ただ、三歩あるくとたいていのことを忘れてしまう鳥頭ゆえに、ゲラを読んでいて「これ、ほんとにオデが書いたの?」と驚く箇所が多々あって、そういう時は他人の原稿を読んでいるように「へえぇ」と感心したり、「はあぁ?」と首をかしげたり。で、それはちょっと面白い。他の人はそんなことないのかなあ。
明日の夕方、このゲラを河出書房新社のS上さんに渡せば、師走の仕事の山をひとつ越すことになる。あとは「本が好き!」と「en-taxi」の原稿が大きな仕事で、残りは連載ものなので楽勝(と思いたい)。
忘年会の予定も着々と入ってきて、年末感がふくらんでいく。